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俺が、敦美の夫殺しの共犯者 あぶない女79


第79章

特に急ぐ必要もなかったが、運転手との話を切り上げる意味もあって、不動産屋か寿美のどちらかで迷ったが、無難な不動産屋を選択した。

不動産屋は、直ぐに繋がった。そして、昨日保留していた中井の物件の契約を早めるように依頼した。

今日明日中に、前家賃と仲介料など諸経費を振り込むことで話はついた。部屋の鍵は、不動産屋で預かって貰うと云うことで落ち着いた。引っ越しの日時は追って連絡することにした。

敦美が、借りたマンションに入居するのには、まだ数日は先になるはずだった。

まさか、敦美が事情聴取から、重要参考人になるなどと云う出来事さえない限り、一週間以内には入居するに違いなかった。

敦美が、夫の片山を殺す可能性がゼロとは言い切れなかったが、前後の状況から推察する限り、可能性はない筈だった。

しかし、被害者の妻で、家出した女に、警察が容疑を掛けても、何の不思議もなかった。

痴話喧嘩の末に、発作的に毒物を飲み物に混入したと云う筋書きを描く刑事もいるに違いなかった。毒物をあらかじめ用意していた点が、発作的と馴染まないが、たまたま家にあった毒物を思い出して持ちだし、混入したと云うことはあるだろう。

考えてみると、妻を覚せい剤中毒にしようと画策した夫に、妻が殺意を抱いても不思議ではなかった。

まして、その犯意が、妻の財産を掠め取ろうとしたのだから、腹を立てるに充分な動機が存在した。

そうか、敦美が夫を殺しても得するものはないのだが、発作的に、夫に殺意を抱くと云う考えも充分成り立った。

無論、敦美の資産が15億円もあることが事後判明すれば、その容疑は薄らぐとしても、かっとなる人間性ありと警察が敦美のことを判断すれば、自宅に毒物の残りがあるかなど、捜査されるに違いなかった。

つまり、敦美にも夫を殺す動機は存在していた。

ただ、俺は敦美と親しい間柄になり、身体を重ねているのだから、その女が、夫を殺したとは思えないだけかもしれなかった。残念ながら、敦美にはアリバイもなかった。

考えてみると、俺が、敦美の夫殺しの共犯者として、捜査線上に浮かびあがるリスクだって充分あり得た。

急に胸騒ぎがしてきた。

学生時代に、悪仲間の友人が、遊び半分に印刷屋に盗みに入り、もののついでに青酸カリ(シアン化カリウム)の小瓶を盗んできて、処理に困って俺に預けたことを思い出した。

あの小瓶は何所に仕舞ったのだろうか、いや、もう数回の引っ越しの最中に廃棄したかもしれないが、まだ机に引き出しの奥かどこかに仕舞った儘になっているかもしれなかった。

あの預かった小瓶についての記憶は、俺の記憶の中には存在しなかったが、現に小瓶があるかどうか、それは別の問題だった。

安全運転に心がける善良な男の運転に、少し苛立った。家に戻って、早く、あの小瓶の存在をたしかめたかった。

仮にあっとして、処理をどうすれば良いのだろう。車で、適当なところまで走って、窓から捨ててしまえば良いのだろうか。

いや、それよりも、瓶と中身を分別して、ゴミの中に紛らわせてしまえば、管理人が、勝手に処分してくれるに違いなかった。

問題なのは、探しても例の小瓶が見つからない場合だ。

そのなかったは、俺が探したけど、なかっただけで、家宅捜索で出てくる可能性は充分にあった。

そのような状況は最悪に違いなかった。俺が、被害者の妻である敦美を唆して、殺人を犯した共同正犯にされてしまうことだった。

これは拙い、なんとか早急に安全地帯に潜り込まなければと走りだしたい気分だった。しかし、あいかわらず、男の運転は、安全第一だった。

つづく


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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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