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なるほど、おかしいですね あぶない女90


第90章

「そうですか、昨日奥さんが証言した、一緒にいた知人と云うのは貴方でしたか。それで、奥さんとは何時くらいまで一緒でしたか」

「午後の六時を回ったくらいです」

「どちらで」

「Oホテルの部屋です」

「片山敦美さんの名前でチェックインした部屋にですね」

「えぇ、彼女が予約を入れたので、たぶん、その名前だと思いますが」

「それで、奥さんに変った様子はありませんでしたか」

「えぇなかったと思います」

まさか、敦美とセックスしていた状況から考えて、あれだけ欲情していたのだから、殺人計画とは似合わないとも言えなかった。

「それで、今日と云うか、昨夜、奥さんと再びホテルで落ち合う筈だったのに、奥さんがホテルに戻っていない。そして、今日になっても戻っていないので、変だと思って署に電話をなさった、そういうことですね」

「そういうことです」

「なるほど、おかしいですね、奥さんが行方不明になるのは」

「えぇ変です。特に旦那さんがあんなことになった後ですから、どう考えてもおかしいと思います」

「でも、あなた以外の約束があったと云うことはないのですか」

「それは分りませんけど、他に約束があったら、僕との約束をする理由がありませんからね。特に、僕が今日も会いたいとか言ってはいませんから」

「自宅の方は確認されましたか」

「いや、彼女の自宅の電話は知りません。知っているのは携帯の方の番号だけです」

「チョッと待ってくださいよ。取りあえず、自宅に電話を入れてみましょう」刑事が電話を掛けに席を外した。

その時、寿美からの電話が入った。俺は慌てて運転中のボタンを押した。誰かが見ていたら、幾分挙動が怪しく見えたかもしれないが、視線は感じなかった。

「たしかに誰も出ませんね。携帯も電源が切られているようだから、奇妙ですね」

戻ってきた刑事は、そう告げると、冷めた目の前の湯のみに手を伸ばした。

「やっぱり、家の方も駄目ですか……」

「今までも、こう云うことはあったのですか」

「いや、今までと聞かれましてもね、つき合い出して一か月程度ですからね」

「一カ月ですか……」

「そうです。SNSで知りあって、意気投合して、初めて会ったのが、ほぼ一カ月前ですからね」

「ほうSNSですか、お洒落な出会いですね」

「いやぁ年甲斐もない話でしてね」

「わかりました。こちらも、片山敦美さんの行方が判らないことを視野に、事件の捜査に当たりますが、何か、相場さんの方も変化があったら知らせていただけると助かるんですけどね」

「わかりました。何らかの変化があったら、すぐに連絡させて貰いますよ。あっ、出来ましたら、刑事さんに繋がる電話番号教えて貰いますか」

刑事は、紙切れに、担当課の直通電話らしき番号を記して差し出した。

つづく


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二度の交接で、充分満足した身体に あぶない女89


第89章

あくまで、俺に出来る推理は、状況証拠と心情証拠から答えを導き出すしかなかった。

記憶は薄いが、Oホテルであった日、敦美の性欲は、いつも通りだったし、三回くらい身体を重ねた記憶があった。いや、二回だったかもしれない。

それにしても、敦美の身体は、以前同様な性欲を見せ、これから夫殺しに馳せ参じる決意をみなぎらせていたとは到底思えなかった。ただ単に、夫から逃げ出した歓びに満ちた性欲を発散している女だった。

たしか、交接したのは二回だった。あの時、睦言ではあったが、夫から逃げ出すプレッシャーがあったと敦美は言っていた。そして、でも、これで覚醒剤中毒者にされずに済むと、心から安堵の表情を浮かべ、部屋を探してくれと俺に頼んだのだった。そして、別れ際には、電話を沢山入れてくれとのリクエストを受けて別れた。

潮吹きを含めて、あの時の敦美の態度が演技だったとは到底思えなかった。二度の交接で、充分満足した身体に、あらためて喝を入れ、逃げ出した夫片山亮介が待つマンションにノコノコ戻ると云うのは、あまりにも馬鹿げていた。

敦美が、家出した自宅に戻る動機はゼロではないのか。仮に、重大な忘れ物をしたとしても、それを取りに行くのは、夫の留守を狙うべきであって、在宅の可能性が高い、夜に向かうことはあり得なかった。

俺と別れたあと、急に自分を覚せい剤漬けにしようと試みた夫に腹を立てて殺しに行ったというのは、荒唐無稽な推理でしかなく、リアリティがなかった。

ここまで考えれば充分だろう。俺の第六感も第一感も、敦美が犯人であるなどと考えていないのだから、考えるだけ無駄だった。仮に怪しい面があったとしても、それを隠ぺいしてしまうほど、勘に頼っていた。

今までがそうであったように、これからも、俺の人生は勘に頼って生きていくべきで、理論的もヘッタくれは、どうでも良かった。

仮に最悪、敦美が犯人であったとしても、俺に敦美の刃が向けられない限り、何ひとつ害はないわけなのだから。

法の正義がどうであるかなど、俺にとってはどうでも良かった。法に照らすと犯罪であっても、俺の都合に照らして、その人間の行為が敵対的でない限り、不正だとは言い切れないのだ。

一瞬、俺は哲学的思考をしている気分になった。しかし、そのような考えが長続きすることはないわけで、いつものように茫洋と勘に頼った行動原理に従った。

敦美が犯人であるわけがない結論に達したのだから、善は急げ、これから俺は間抜けな善人になって、愛人の敦美の安否を心配する善人に徹すればよかった。

警察署の番号を押して、応答を待った。電話口で、凛々しい応対をするひつようはなかった。間抜けで善人な愛人なのだから、容量を得ない問い合わせで充分だった。逆に手慣れた態度の方が怪しいわけで、しどろもどろするのが当然だと思うと、気持ちは軽かった。

片山亮介の事件担当の刑事が電話口に出てくるまで、二回同じことを聞かれたが、丁重に事情を説明した。

漸く担当刑事が電話口に出た。

その刑事は、今日は敦美の事情聴取はないので、署に来ることはないと断言した。

それはそうと、貴方は、彼女とどういう関係なのかと、間延びした口調で尋ねられた。

俺は素直に、愛人のようなものだと思う、と応えると、刑事は、一瞬笑ったような声音で、署に来て、事情を説明してくれないかと言い出した。

一瞬考えたが、家に押しかけられるより警察署で事情を聞かれる方がベターなのは当たり前だったので、刑事の依頼に同意した。ただし、午後三時か四時くらいになると、一応もったいぶっておいた。

つづく


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敦美が重要参考人ではないこと あぶない女88


第88章

夜中も時折目覚めたが、敦美から、メールも電話も入らなかった。朝を迎えても、当然のように敦美からの連絡はなかった。

寿美の言葉が重なり、敦美の身辺に異常な事態が起きている可能性は、相当の確立だった。

寿美に相談する手もあったが、それでは、同級生どんぶりを平然と愉しんでいた裏切者になってしまいそうで、気が乗らなかった。

やはり、恥を忍んで、警察に敦美の居場所について確認するのが正しい方法だった。

当然、殺された片山亮介の女房の愛人と見られるだろうから、人間関係を複雑にし、敦美の容疑が深まる危険がないわけではなかった。

しかし、敦美の身辺に何らかの異変が起きている疑いがあるのに、放置しておくことは、良心的にも苦痛だし、敦美との関係が壊れることを承知する決意が必要だった。

いや、それどころか、後々になって、捜査が進むにつれ、俺の存在は判明するだろうから、早々に、善良な男の態度を示しておく方が、後々に禍根を残さない選択だった。

そんなことを考えている中で、敦美と寿美と云う女への、俺の興味の種類がおぼろげに理解できた。

敦美には、情における感情が強く、寿美に対しては、女体への魅惑が強く影響しているのではないのかと云う思いが浮かんでいた。

そして、懲りもせずに、二つの女体のオ×ンコの形状の記憶を捻りだそうと、無駄な努力をしていたが、首を強く降って、迷いを振りきった。

時計は既に十時を回っていた。念のため、敦美の携帯を鳴らしてみたが、電波の届かないところか、電源がオフになっていますと云ったメッセージが流れるのをたしかめた。

たしか、敦美が事情聴取に行った警察署は新宿南署だったはずだ。パソコンで南署の電話番号を確認した。

すかさず番号をプッシュするのは躊躇われた。

本当に、不用意に電話をしてしまった良いのだろうか。そうすることで、思わぬ不利益を受ける危険はないのか。

仮の話だが、敦美への容疑が濃厚になった場合、不倫相手である男は、女房に協力した共犯者である可能性を、警察は常識的に持つのは当然だった。

つまり、敦美が重要参考人ではないことを確認してからでも、俺の安否確認の電話は遅くはないのではないのだろうか。

いや、もし敦美が、寿美が心配するように拉致されているのであれば、いっときも早く、警察に知らせることが、俺の容疑を薄める効果があるに違いなかった。

なにひとつ疚しいところはないのだから、最低限善良な人間であるべきで、下手な小細工が、次の疑念を呼ぶ可能性は大いにあった。

こうなると、確認すべきことは、絶対に敦美が片山亮介殺しの犯人ではないと確信を持つことだった。

その事実さえ判れば、何も怖れることはないわけで、堂々と愛人の面構えで、警察に確認の電話を入れることが可能だった。

つづく


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二つのオ×ンコは似ていた あぶない女87


第87章

俺は自分の部屋に籠って、寿美と敦美と云う女体を並べて思い浮かべていた。

不謹慎なことだったが、思い浮かんだのは、ふたりの女のオ×ンコの形だった。

二個の女体は、両の脚をⅯ字にして、俺の方に向かって開脚していた。

二つのオ×ンコは似ていた。

比較的大ぶりな外観をしていた。陰毛も同じ程度の濃さで、大陰唇部分はカミソリで綺麗にトリミングされていた。

その所為か、大陰唇の形状が手に取るようにわかったが、ふたつの大陰唇は同じような膨らみを見せ、色素沈着も少ないので、両の腿との境界線はハッキリしなかった。

多くの場合、この大陰唇に特別の差異を見つけることは困難なことが多い。

女体の陰部の形状の違いは、多くの場合、小陰唇の形状の差異によるものだった。

女体のオ×ンコの形状といえば、多くの男の目は小陰唇に注がれていて、大陰唇の形状を云々することは稀だ。

その所為か、男の中には、大陰唇と小陰唇の区別がつかない人も多く見られる。

正直、小説などにおいても、大陰唇の形状に言及することは少なく、多くは、小陰唇の形状と陰核の大きさに関する表現が多い。

俺もご多分に漏れず、寿美と敦美のオ×ンコの形状を比較しようと云う思いの中で、目に浮かべたのは小陰唇の形状だった。

しかし、二つの女体を映し出す記憶に、差異は見られなかった。それ程しげしげと見たことがない所為もあるが、同じような形状だった記憶しかなかった。

下肢の膨らみ具合、脚の長さ、腿の太さ、それらはひどく似通っていて、顔を伏せられて、おまえの女房はどっちだ、と詰問されても正確に言いあてることが出来ないくらいだった。

そんなことだから、見比べるといっても、記憶の中から、二つの女体のオ×ンコの形状を明確に比較することは出来なかった。

ただ、わずかな差異を敢えて指摘するなら、敦美の陰部の色調の方が濃く、寿美のは身体全体の色調と変らないものだったと云う記憶だった。

二つの女体の小陰唇は比較的厚みがあった。皺はあまり寄っていないが、唇のようなぽってりとした厚みがあった。

この厚みは、オ×ンコを覗き見た時、ひどく卑猥に見えた。卑猥と云う表現が不適切であるのなら、唇を近づけて口に含みたい衝動を憶える形状だった。

しかし、現実に口に含んだのは敦美のオ×ンコだけで、寿美のそれは、口に含んだ記憶はなかった。

こんな厄介事があると云う時に、ふたりのオ×ンコの形状について思い出している自分は不謹慎だと思った。

そして、そのような不埒な想像に耽ることを考えると、敦美のことなど、何ひとつ心配していないのではないかと訝った。

いや、そんなことはない、と言下に否定した。

俺はそんなに薄情な男ではない。しかし、ほんの少し前、同級生だったという敦美と寿美のオ×ンコを見比べていたではないか、やはり、オマエは女体にしか興味のないスケベ男に過ぎないのだ。

俺は、その糾弾に反駁を加えようと思ったが、その反駁が、今の状況に何らの影響を及ぼさないことに気づき、途中で放棄した。

ただ、俺にとって、ふたりの女は、どう云う存在なのか、今後の課題として押しつけられた圧力は感じたままだった。

つづく


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寿美と敦美が同級生だった あぶない女86


第86章   

タクシーが議事堂を過ぎたあたりで携帯が鳴った。漸く、敦美が連絡をよこしたと思ったが、敦美ではなかった。

寿美だった。

“いま、話しても大丈夫?”

「タクシーの中だけど、大丈夫だよ」

“実はね、片山亮介の事件なんだけど、我が家にも関係ありそうなのよ。それで、片山の奥さんのことが心配になって、電話しているのだけど、全然通じないのよ”

「えっ、片山って殺された人の奥さん、その人を知っているの、寿美さんは?」

“そうなの。敦美さんっていうんだけど、私、同級生なのよ”

「そう、結構仲が良いわけ?」

参った。寿美と敦美が同級生だったとは、運命の悪戯でしかないと思ったが、おくびにも出すわけにはいかなかった。

“いや、まあその辺は複雑だけど、仲の良い時期の方が多かったかな”

「で、なんで、その人に電話を入れたわけ?」

“父親と兄さんの動きが変なのよ。それで、敦美のことが、一応心配になってね。恋敵だったけど、やはり、仲良かったからさ”

「つまり、寿美さんは、その片山氏の奥さん、敦美さんの身に何か起きるような予感があると云うわけか……」

“そうね、まさかとは思うんだけど、なんだか気になり出してね……」

寿美に、なぜそのような心配をするのか、原因を深く聞きたかったが、電話で聞きだすのは、運転手の手前も考えて押し黙った。

「その奥さんの親御さんとか、親戚とか、友達とかに連絡してみたら」

“敦美の両親は、もういないのよ。親戚なんて知らないし、友達に確認するには、時間が遅すぎるしね。で、誰かと話したくなって、貴方に電話したわけ……”

「そうか、それにしても、もうこの時間じゃ確認するといってもね。すべては、明日になってからじゃないのかな。警察の事情聴取とか、旅に出たとか、交通事故に遭ったとか、色々考えられるからね……」

“そうよね。でも事情聴取って、まさか夜中まではしないでしょう?”

「あぁ、警察関連は夜中はないよね。ただ、その奥さんが、重要参考人になっていた場合は、当分携帯が繋がることはないだろうね」

“敦美さんが、片山を殺したってこと?それは、たぶん絶対にないと思うの。片山が殺された理由は、もっと違うことなのは確実なのよ。あまり詳しくは言えないけどね……”

「そうなんだ。まぁ俺が聞かない方が良いこともあるだろうから、それは構わないけど、そうなると、その敦美さんって奥さんが電話に出たくない事情があるということかな。もしかすると、誰かに監禁されているとか、そういうことも考えられるよね」

“そうなの。私が一番心配しているのは、敦美、事件絡みで監禁されているんじゃないかって思うのよ”

「そうなのか……」

俺は押し黙るしかなかった。不用意に話し出すと、俺が、敦美の現在の男であることが露見しそうで不安だった。

まもなく家につくので、電話は明日あらためてということで、寿美からの電話から解放された。

つづく


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交通事故か拉致監禁? あぶない女85


第85章

敦美が何者かによって拉致監禁されたという想像に根拠はなかった。

最悪の事態を考えたに過ぎないのだが、交通事故に遭ったのだとすれば、俺の携帯に連絡が入っても良い時間が経過していた。

交通事故、拉致監禁以外に、敦美が姿を隠してしまった可能性も、ゼロではない。

ふらりと旅に出たくなったという事もあるだろう。しかし、普通であれば、その事実を、俺に伝えてこないというのも奇妙だった。

もしかすると、他にも俺同様の男が存在し、そちらとのコミュニケーションを選択したという事も、考えられないわけではなかった。

旅や他の男という理由であれば、それほど心配することはないのだが、前後の事情から考えて、可能性は低かった。やはり、交通事故か拉致監禁が有力だった。

敦美から詳しいことは聞いていないが、夫の片山亮介が死亡し、当の敦美が死んだ場合、誰に、その遺産が残るのか皆目見当がつかなかった。

そうか、拉致監禁ばかりを想像したが、敦美の遺産の受取人であれば、単に敦美を殺害してしまえば、こと足りるわけだ。

考えてみれば、敦美の家族構成を、ほとんど知らなかった。兄弟姉妹がいるのかどうかも知らない。

つまり、敦美のことを知っているようで、実は、ほとんど判っていなかった。

男と女の一対一の関係においては、その他の人間は、埒外に置かれていることが多いので、双方の生活環境や家族環境など、知る必要がないのが現実だったが、このような事態になると、知らないことのリスクが問題になってきた。

敦美に、兄弟姉妹がいたなら、敦美を殺す動機が存在し、殺害されたことも考慮に入れなければならないのだった。

そこまで考えて気づいた。

そうか、敦美には兄弟姉妹がいないから、父親の財産を相続したという話を聞いたではないか、そう、敦美には、兄弟姉妹はいないのだ。

そうか、やはり交通事故か拉致監禁の線が有力ということになる。であれば、そろそろ何らかの電話が鳴っても良さそうだった。

しかし、午前零時を回っても、携帯はびくともしなかった。考えてみると、ここまで待ったのだから、俺がこの部屋にいなければならない理由は免除されていた。

手持無沙汰で、ホテルのベッドに寝ころんでいる必要はなかった。そのことに、もう少し早く気づくべきだったと自分に腹を立てながら、ホテルを出た。

ホテルの支払いがどうなっているのか不安だったが、敦美がチェックインしているわけで、いつ戻ってくるかも判らないのだから、俺がチェックアウトしてしまうのは余計なお世話だった。

まぁ、チェックアウト時間を過ぎてもチェックアウトしなければ、ホテルの方で、それなりの処理を行うだけだった。俺が悩む問題ではなかった。

しかし、そうは言うものの、何かやましい気分で、俺は走ってきた空車に手を上げた。

つづく


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拉致監禁か……  あぶない女84


第84章   

兄貴からの連絡が先だった。

「えっ!二時間くらいで帰って貰ったって。つまり、午後三時くらいには警察署を出たということ……」

「いや、家は新宿だからね、三十分とかからない筈だから、どこかに行ったのだろうか……」

「えっ、男のところにでもって……、まぁそう云う人じゃないとお姉さんは言っているけどね。いずれにしても、ありがとうございます。早速、相手方に知らせますよ。助かりましたよ、恩に着ます。これで三つ借りですね……」

「えっ、五つだって。そんなに借りていましたか……」

「ハイハイ、五つですね。了解です」

俺は早々に電話を切った。話している間に、貸していた案件を兄に思い出されてはたまらないので、電話を切るのが得策だった。

兄貴と俺の関係に思いを馳せている時間はなかった。いま、想像以上に重大な危機が迫っている事を忘れようと、つまらぬことを考えたが、悪い想像は見る見る膨らんでいた。

まさか、午後三時から十時過ぎまで、物見胡散する環境に敦美がいないのは当然だった。

つまり、敦美が何らかのアクシデントに見舞われたと考えるのが妥当だった。

まず頭に浮かんだのは、交通事故に遭遇した場合だ。この場合、敦美夫婦の自宅に電話が入るに違いなかった。

しかし、夫は殺されたばかりで、誰も電話に出ることはあり得なかった。

そう云う場合、携帯に残されている片山姓のアドレスに電話をかけ、状況を伝えることがあるだろうが、夫である片山亮介が殺された事実を知り、今頃、アドレスに片っ端から電話をしている最中なのかもしれなかった。

しかし、だとすれば、通話履歴から、直近に電話をした人物に、敦美に関する事情を聞くのが筋だった。つまり、俺に真っ先に電話が来るのが当然だった。

しかし、俺の携帯は、電源も入っているのに、兄貴からの電話以外、一度たりとも鳴ることはなかった。

案に相違して、敦美が、種々雑多な相手に電話をしまくっていたとしても、当然、俺の携帯に確認の電話が入って良い時間だった。

ということは、敦美が事故に遭遇した可能性を排除することが出来た。

では、どういうことが考えられるのだろう。自ら、俺に連絡を取ることを取りやめた可能性だが、少なくとも俺の知る限り、敦美が自らの意志で、連絡を取ることを放棄したとは考えにくかった。

ということは、何らかの事情で、敦美は、ホテルにも戻れない状況であり、電話で連絡も出来ない状況にあることを示していた。

拉致監禁か……。

こう云う場合、夫の片山亮介の殺人事件と関連した拉致監禁と考えるのが妥当だった。

まして、妻である敦美は、資産家の娘だったわけだから、拉致監禁などをした上で、金品を脅し取る可能性は充分あった。

しかし、金品を脅し取る相手は敦美本人以外にいないのだから、誰かを強請ると云うことは出来ないわけで、単に、敦美から金を強請り取ることで完結してしまう。

つまり、敦美の失踪は、彼女以外の第三者は不要な出来事だった。

この調子だと、ベラボーなホテル代を、自腹で精算しなければならない羽目になった自分の不幸を呪いたい気分だったが、腹を決めるしかなかった。

財布の現金は数万円だったが、カード決済という手があるのだから、怖れるには当たらないが、少なくとも愉快な気分ではなかった。

つづく

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主のいないクイーンサイズのベッドに あぶない女83


第83章

俺は約束通り、午後7時にOホテルの敦美の部屋に入った。しかし、敦美の姿はなかった。

たしか、午後一番に警察に向かったのだから、事情聴取であれば数時間で解放される筈だった。

「ということは……」俺は、主のいないクイーンサイズのベッドに横になりながら、声に出して、敦美への容疑が濃厚になった事を予感した。

しかし、明白な証拠もなく、曖昧な動機で逮捕拘留と云うのは、いくらなんでも乱暴すぎる。

敦美のことだから、ノホホンと買い物でもしているのかもしれなかった。無論、シビアな状況の想像から逃れる為の想像に過ぎなかったのだが。

時計は午後8時に近づいていた。出頭した警察署、新宿西警察署に電話を入れて、敦美の所在を聞く手もあったが、捜査上の問題なので答えられないと言われそうだった。

俺は渋々携帯に手を伸ばした。忌まわしい兄の携帯をコールしていた。

「そうなんだよ。知り合いの妹さんが、新宿西警察に参考人で呼ばれたのだけど、夜になっても帰宅していないらしいんだよ。それで、直に聞く手もあるんだけど、兄貴の筋から聞いて貰えないかと思ってさ……」

「一昨日の新宿の片山亮介と云う人物が殺された件での聴取なんだけどね……」

「帰宅していない妹さんが、その殺された片山亮介って人の奥さんなんだよ」

「まさか、俺の彼女って話じゃないから安心してくれ。問題があるようなら、直に電話してみようと思うんだけどね……」

「うんうん、それは有りがたい、恩に着ますよ。ハイハイ、いずれまとめてお返ししますよ。それじゃ、電話待っていますから、よろしくです」

フッと俺は大きくため息をついて、携帯を切った。また、兄貴に借りを作ってしまった。二つほどの借りの記憶があるから、これで三つ目だ。もしかすると、記憶外にある借りもあるのかもしれないが、記憶にある限り三つ目だ。

兄貴からの電話が先か、敦美が戻ってくるのが先か、などと思いながら、暇に任せてテレビのリモコンを押した。

丁度、午後十時のニュースが始まっていた。仮に、片山の殺人事件で、敦美が逮捕でもされたのであれば、最期の方であっても、報道するに違いないと思った。

しかし、一時間が過ぎても、片山亮介の殺害が妻の敦美による事件であったという報道はなかった。

仮に重要参考人であっても、拘留することは出来ないので、翌日にならない内に警察から解放される筈だった。

つまり、最悪でも午前零時過ぎには、敦美はOホテルに戻ってくる筈だった。それにしても、二晩続きで家を空けるのは気が引けた。

いくらなんでも女房に一言くらい言われそうだった。そういう事を言うことで、夫婦の証を確認する作業が、あの人にとっては重要な儀式のようなものだった。

亭主が何をしてようと興味はないが、世間体を繕うための情報は提供せよ、と云うのがあの人の言い分で、実に合理性があった。

その点では、俺はいささかも異議を唱える気はなかった。あの人の、合理性や立場主義を認める夫である限り、俺には自由があるのだから、そのくらいの不都合は享受しても罰は当たらなかった。

つづく

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敦美は重要な参考人 あぶない女82


第82章

車の後部座席のシートの間が安全と云うことはないが、取りあえず家族の目に届かないだけでも安全に思えた。

仮に、警察が家宅捜索をするようなことがあれば、いっぺんで見つかるのだろうが、部屋にないだけで、心は落ち着いた。

敦美のアリバイを確認するために、警察が尋ねてくる可能性もあるわけだから、家に毒物がないのにこしたことはなかった。

家を出たついでに、久しぶりで車を動かしてやろうと思った。マンションの駐車場を出たのは良いのだが、行き先が決まらなかった。

行き先や道順が頭に入っていないドライブは危険だった。運転が散漫になり、事故を起こすリスクが増える要因だった。

俺は近くのコンビニのパーキングに車を入れ、菓子パンと淹れたてコーヒーと新聞を買いシートにおさまった。

最近は、コンビニの菓子パンなども、不味くて食えないようなものが、店頭に並んでいることはなくなったので、安心してかぶりつくことが出来た。

A首相の経済政策のお蔭で、東証の株価が上昇していた。

株価の上昇と庶民の生活水準が向上することは別次元の話だが、購入した新聞は、株価の上昇は、巡り巡って国民の生活にトリクルダウンを生じさせるだろうと好意的な論評を加えていた。

ある程度マクロ経済学を学んでいれば、株価の上昇は日銀の異次元緩和によるもので、円安が企業業績を押し上げると云う図式において成り立つことで、利益が企業内から世間に出ていくことがないくらい、直ぐに判るメカニズムだった。

しかし、高級品が飛ぶように売れている売り場特集などを組むことで、A政権に揉み手をする、くすぐったくなるような提灯記事を平気で垂れ流していた。

「売女め!」俺は罵り、荒っぽくページをめくった。

兄が記者をやっているY新聞を買ったのが間違いだったが、A新聞も似たり寄ったりの記事を書いているに違いないのだから、Y新聞を愚弄するのはフェアーではなかった。ただ、習慣的に、家が月ぎめで購読しているY新聞を買ってしまった事に腹を立てていた。

そして、ついでに、したり顔の兄の顔を浮かべ、更に不快を増幅させていた。

都内版に片山亮介の記事が小さく出ていた。

【高級マンションで男性が死亡 事件事故の両面から捜査 東京
12日午後9時ごろ、新宿のマンションの一室で、住人の男性(35)がおう吐して倒れていると、男性の知人から110番通報があった。警視庁などによると、男性はベッドの横に倒れてすでに死亡していた。外傷がないことから毒物を服用したものと判断、警視庁は事件事故の両面から捜査している。】

そのベタ記事は無味簡素だった。片山亮介が青酸カリで中毒死したことで、妻の敦美から事情を聴取しているなどと詳しい情報は伏せられていた。

敦美が事件に関与していないことは、前後の状況から判断出来たが、絶対に敦美が殺したわけではないと確信することは出来なかった。

おそらく、俺でも、敦美が絶対に片山を殺していないと確信できないわけだから、赤の他人である捜査官たちの目から見れば、敦美は重要な参考人であることは間違いなかった。

敦美が夫の片山を殺したとして、何が動機なのだろうか。少なくとも、金銭にまつわる可能性は排除できた。否、片山に生命保険が掛けられていた場合、敦美が15億円の資産家であろうがなかろうが、殺人の動機にはなり得る。

リッチな片山夫婦が互いに生命保険を掛けるとすれば、5千とか1億円くらいの生命保険を掛けている可能性はあった。

妻である敦美の総資産にまで、捜査関係者が把握しているとは限らないので、保険金欲しさに、妻が夫を毒殺したと疑う可能性はあった。

ということは、敦美の単なる事情聴取は、格上げされて重要参考人に切り替えられているのかもしれなかった。

しかし、敦美の話を信じるなら、片山亮介には三人の愛人がいたと云うことなのだから、彼女らにも、片山に殺意を持つ容疑者がいても不思議ではないのだろう。

夕方までに、敦美が警察から解放されるかどうか、必ずしも保証されていないことを痛感した。おそらく、敦美は、自分は殺人などしていないのだから、解放されるに違いないと思っているだろうが、そう単純な問題ではないのかもしれなかった。

つづく


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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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