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終着駅61 腰が抜けていることに気づいた


 第61章

 初めの1か月はバタバタと過ぎていった。圭が部屋に来たのは、引っ越してから2か月目のことだった。

 圭は引っ越しの時に手伝ってくれたので、部屋は見ていたが、セックスを前提に訪問するのは初めてだった。

 「これ、新築祝い」圭が四角い包みを差し出した。

 「うわっ!絵なの?」私がT画廊の包装紙の文字を読んでいた。

 「リトグラフだけどね。俺が好きなだけなんだけど、きっと姉さんも好きだと思ってさ」

 「開けていいかな?」

 「勿論、カシニョールのリトグラフだよ。あそこの画廊の若旦那、俺の同級生でね、1割引きしてくれたよ」

 「あぁ綺麗。淡い色使いが私好みよ。この女の人が、特別の美人じゃないのが良いわね」私は笑いながら、リトグラフを掛けるスペースを見回した。

 「飾るのは、休みの日にでもゆっくり飾ってよ。壁に取り付ける金具も買っておいたから、後で、姉さんが気に入った所に飾ってよ」

 圭は、そんなことを言いながら、私に迫った。

 私は抵抗せずに、圭に身をゆだねた。3週間くらいのご無沙汰だった私の身体は一気に熱くなった。圭の勃起も布を通じて、その硬さを伝えていた。

 有紀が飛び入りしていた時期の副作用なものから、漸く脱した二人のセックスは激しかった。

 どの程度の防音機能が、この部屋にあるかわからないので、声を抑えるのに苦労した。

 二人は、吐息以上のものを出さないように気を使った。二人の息つきが寝室に充満し、寝室の壁に立てかけたカシニョールの額縁も一緒に官能の世界に引きずり込んだ。

 「腹が減ったけど、どこか食べに出る?」珍しく、早目に射精した圭が、煙草の煙を追いかけながら、呟くように話した。

 「結構美味しい中華のケータリングのお店見つけてあるから、シャワーを浴びる前に注文しておくよ。適当なもので良いでしょう」

 「あぁ、姉さんが好きなものなら、俺は、なんでも食べられるから」

 「しかし、よく母さんが、涼ねえさんの家を買うこと承諾したね。」圭がチンゲン菜を突きながら話した。

 「良いも悪いもないわよ。全部自分のお金なんだから」私は酢豚とライスを交互に口に運びながら話した。

 「おぅ、この小籠包もいい味だね。肉汁がジュワッだよ。いや、そういう意味じゃなく、ダダこねたんじゃないのかなって」

 「そうね、人の姿が見える限り、あの人は文句を言い続ける人なのよ。父さんが、よく耐えていると思うけど、蓼食う虫も好き好きよね」

 「あのさ、俺、今度会社辞めるかもしれないんだよ」

 「会社辞める?会社を替わるってこと」

 「いや、美絵の親父さんの会社に来てくれないかって」

 「美絵さんのお父さんが社長の会社って、ビル経営の会社でしょう」

 「そう、俺の知識はゼロの業界だよね。まあ、ディーリング以外の仕事以外は、全部知らないんだけどさ」

 「条件が悪いわけはないけど、アンタは、その会社で何するわけ」

 「美絵の親父さんの番頭のような常務の人が、癌が見つかったらしいんだよ。それで、会社辞めて、治療に専念させてくれって頼まれたらしく、その後釜に、俺に白羽の矢が立ったってことらしいね」

 「つまり、その常務の人の後を継ぐってことかしら」

 「多分、その腹積もりのようだよ。その人とは、たまに酒を飲んだり、ゴルフでラウンドしたりしていたか、見ず知らずと云うわけでもないから、当面の心配はなさそうだけどね」

 「そう、でも今の仕事は給料が良いでしょう。そっちの給料はどうなの?」

 「現在の給料よりは、間違いなく多く出すと言っていたな。それは、それほど拘っていないけどね。それよりも、跡継ぎにさせられる方が、気が重いかな」

 「なるほどね。たしかに、その流れは、いつの日か、美絵さんのお父さんの会社を引き継ぐことになるんでしょうね」

 「それがね、なにせ、実際はビジネスのこと殆ど判らずにディーリングだけ覚えたわけだから…」

 「それは、そう心配には及ばないわよ。アンタなら、現在やっていることくらいは、半年もすれば覚えるわよ。経営の決断とかは別だろうけど」

 「そう、当面の心配はあまりしていないけど、跡継ぎと云うのはね…」

 「だったら、条件に、そのようなレールに乗るのは困ると頼んでみたら。そのような問題は、その時の、僕を見定めた上で決めてくださいって」

 「既成事実化されるのは困るって言っても構わないかな?」

 「構わないと思うわ。一つの想定ですけど、と言って、一人娘の婿が、会社に入るって、定番の話がありますけど、それが嫌なんですって、内々にお父さんに言えばいいじゃないの」

 その夜は、圭が異様に燃えていた。

 私は、泥のように疲れ果てた身体を起こすのも億劫だった。着替えを終えた圭を見送ろうとベッドから抜け出そうとしたが、足を突いた途端、自分の腰が抜けていることに気づいた。

 私が「ちょっと無理」と言うと、圭も「ちょっとやり過ぎでした、ごめんなさい」と言いながら、私をベッドに寝かせ、額にキスをすると、部屋を後にした。

 “これでいい”私はまどろみの中で、圭との関係がまだまだ続くことを確信した。

 そして、何度も圭の怒張で味あわされたオーガズムが、思い出したように、私の腰部を襲った。
 つづく

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終着駅60 牛込神楽坂の中古マンションを買った


 第60章

 ただし、有紀も数こそ少ないが、弟と関係を持った当事者であり、名が売れるに従い、私以上に、そのようなスキャンダルを怖れる筈だった。

 そういう意味でも、有紀が有名人になっていくことは好ましいことだった。家族としても、女としても、心配する必要のない秘密だと思った。

 圭が家を出て、有紀がほとんど帰宅することが出来なくなり、私だけが取り残された。

 圭は、結婚で新居を構えたわけだし。有紀は売れっ子になったために家に帰宅できなくなっているわけで、別段、私が取り残されたわけではないのだが、そのような雰囲気が家の中に漂っていた。

 自然体で生きている母にとって、その雰囲気は長女が売れ残ってしまったように感じるのは時間の問題だった。

 理屈の上で理解していることでも、彼女の情緒が、私一人に向けられるのは、好ましい状況ではなかった。母と奇妙ないがみ合いになる前に、逃げ出すのが正しい選択だろう。

 私は、家を出ることで八方丸くおさまると思った。母が、当初はぐずぐずと言うだろうが、強行してしまえば、力づくでどうこうする人でもなかった。一週間もすれば昔からそうだったように、その空間に馴染む人だった。

 京王線と乗り入れをしていない地下鉄の駅を、地下鉄路線図を見ながら、見渡した。

 母がちょいちょい顔を出せるような所に住むわけにはいかない。地下鉄嫌いの母が乗り替えをしないとたどり着けないところで、新宿まで直通であることも必須だった。

 私は、まだ乗ったことのない大江戸線に絞り込んだ。母などは、名前も知らない路線だろうから、来いと言っても、アンタが来いと云うような場所が良かった。

 飯田橋、春日、本郷辺りに絞ってオートロックのマンションを検索した。

 家賃は15万程度でおさまりそうだった。これなら無理なく借りることは出来るが、月々15万を大家に支払うのもどうなのだろうと、早速悩んだ。いっそ購入してしまった方が利口なのではないか。

 4500万の中古マンションを買ったとして、頭金を1000万出せば、月々の返済は10万円弱。夏冬のボーナス時に32万前後。直感的に、どう考えても結婚する気にはなれないし、会社が倒産しそうな感じもない。実家に居残っていれば、家は貰えるだろうが、両親の介護問題に直面する。

 最後に最後には、私が見ることもあるだろうけど、目の前に娘が居ると居ないでは、両親の心づもりも違うだろう。

 この際、私は、将来無駄な買物だと後悔しても、購入の方向に傾いた。生活感を変えてみたい欲求もあった。

 無論、圭との逢瀬にも使えるわけで、その都度、圭にホテル代の支払をさせている後ろめたさからも解放される。

 私は、早速大手の不動産仲介業者に電話を入れた。そして、中古物件の仲介を依頼した。

 話は、意外にスムーズに進み、都営大江戸線「牛込神楽坂」徒歩6分の1LDK、オートロックマンションが、既に空き室で見つかった。圭に話したところ、まったく問題ないと云う返事を貰っていた。

 母は予想通り、ぐずぐずと色んな事を言ってきたが、意に介さなかった。

 父は、涼の甲斐性でやることに、親が口出しすべきではない、冷静な素振りをみせていた。

 バタバタと契約を取り交わし、母の不機嫌そうな顔に見送られて、私は実家から船出した。
 つづく

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終着駅59 愛するゆえに抱けない心理?


 第59章

 圭の嘘は、セックスをするのが初めてだと、私に言ったひと言だった。

 その当時の圭と私の会話の経緯を完全には記憶していなかった。たしか、塞ぎこんでいる圭に、何が原因で落ち込んでいるのかを、私が尋ねたことに端を発している。

 そして、落ち込んでいる原因が婚約者の美絵とセックスが上手く出来ないと云う原因を白状させた。

 その時、私は、セックス未体験なのかと尋ねた時、経験がないと、圭はたしかに言った。それが嘘だったのだ。

 嘘は嘘なのだけれど、圭が積極的に自分の方から言い出した嘘ではなく、私が引き出した結果生まれた嘘でもあった。

 婚約者の美絵と上手くセックスが出来ないことは事実だった。

 ただ、有紀の情報によれば、圭は女遊びに長けていて、相当浮名を流していた経歴を持っていた。にもかかわらず、婚約者の美絵とはセックスが出来ないというのも、にわかに信じることも不自然だった。

 まさか、大学時代の女出入りで、プラトニックなラブだけだったというのは、もっと不自然だった。

 圭の味方になって考えてみると、遊びでのセックスは幾らでも思い通りに出来たのだが、真剣に愛する相手とのセックスは、何故か出来なかったと云うことになる。

 いい加減な相手とならセックスは出来るが、本気になった途端、緊張してセックスが出来ない。そんな極端なことがあるのも、普通では考えられない。

 仮に、その辺を無理に理解してやったとして、それでは、私とセックスが出来たと云うことは、私が遊びの一環の女だったということになる。

 この考えは、到底、私には承服できない答えだった。許し難い圭の心の動きであり、万死に値する弟の裏切りだった。だから、そのように考えることを、私は放棄した。私にも、圭にも、利のない想定だった。

 しかし、遊びであったとして、100万円のカウンセラー料を払うと云うことは、それなりに意味があったのだろう。

 最低でも、私と性的関係を結ぶことに100万円の価値を持っていたわけだ。あるいは、本当に愛する人間とセックスするための予行演習がしたかったのかもしれない。その価値が100万円だったかもしれない。

 いずれにしても、圭が前向きに「嘘」をつく為に仕掛けてきた行動ではない。

 ただ、婚約者とだけは上手くセックスが出来なかったのが事実だとすると、彼が遊びでやっていたセックスは、どういうセックスだったのだろう。

 薬とか、そういう類の乗りの中で行われていたのだろうか。グループセックスとか、乱交とか、そういうものだったのだろうか。

 だから、一対一の普通のセックスでは緊張が先走る。心理学的には設問として成り立ちそうだったが、リアルな世界では荒唐無稽な設定に思えてくる。

 しかし、事実、美絵とは、私との体験を経た上で、関係を成就したのだから、不自然だけれど、私とセックスした効果は事実としてあったのだ。

 たしかに、はじめは童貞の如く振る舞っていたが、歌を思い出したカナリアのように、初めての日でも、最後の方ではテクニシャンぶりを発揮していた。

 本当に、真っ当なセックスをしたことがなく、一対一のセックスは私が初めてだったのかもしれない。

 もしかすると、真剣になればなるほど、緊張症のような気質があり、美絵さんを相手にした途端、その症状が酷くなるということも考えられた。

 私の立場は、遊びと緊張症状が露わになる関係の間に存在したということかもしれない。

 憧れの姉とのセックスでは、おそらく婚約者に対するのと同様の緊張関係が出来るので、そこで金銭を介在させ、モラトリアムな関係性を築こうとしたというのは肯ける。

 そのように考えると、圭の消極的「嘘」の発言には、情状酌量の余地がある。

 甘い解釈だが、その方がお互いを傷つけることもない。一つ目の「嘘」から次々と嘘な発言が生じたのは、自然の流れで、これは致し方ないことなのだろう。

 差出人不明の手紙の主の存在が、喉元に刺さった小骨のような部分もあるが、圭と私の関係とは切り離して考えるべき問題だとも思った。

 ただ、美絵さんだけでなく、第三者には絶対に知られてはいけない関係だと云うことを忘れないことだと思った。

 いや、もう一人、圭と私の関係を知っている有紀がいた。
 つづく

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終着駅58 


 第58章

 母のパニックもおさまり、数日が経った。母は、一時的にショックを大きく受ける人だけど、数日寝込むと、問題は何ひとつ改善していなくても、改善したように思い込める人だった。つまり、平和で平凡な女だった。

 有紀からメールが入った。1週間の間に2通のメールは、有紀にしては、珍しい現象だった。

 『 この間のメールで書きそびれたのだけど、私の心の中にしまっておくことが辛いので、吐き出してしまいます。涼ねえさんが、そのことをどう思い、どのように受けとめ、どのように対処するのか、それは私にはまったく判りません。ですから、聞かなかったことにするのも、姉さん次第です。話さなくても良いことだと、何度も自問自答したのですが、やはり、姉さんには知る権利があると思う結論に至ったので、メールしています。圭のことです。姉さんの認識では、圭が初心な弟に見えていたのでしょうけど、圭は、そんなに初心な男ではないと云う事実です。大学時代の圭はイケイケな男だったのです。私の顔見知りの友達の中にも、二人ばかり圭にぞっこんだった女の子がいます。おそらく、同年や年下の女の子の間でも、かなりブイブイしていました。私の聞く限り、かなり女出入りの激しい生活をしていたと云う事実です。このことは、私が圭を誹謗中傷するために語るわけではありません。私自身、ある時点から、圭にぞっこんだったわけですから、圭がイイ奴とか、悪い奴とかの話ではありません。ただ、涼ねえさんが、誤解したまま、圭との関係を維持するんじゃなく、事実は事実として受け止めた上で、圭をみつめて欲しいな、と云うことです。圭は、現在は落ち着いる筈です。家庭を持ち、憧れの涼ねえさんとも関係が成立して、何ひとつ不満はなくなっていると思っています。あの、セックスするために生まれてきたような、器用で魅力的な男。そのような圭を、どう扱うは、涼ねえさんの考え一つだと思います。妹であり、女である、同志のような女、有紀より 』

 私は、有紀のメールを読みながら、涙が滲んだ。何のための涙なのか、よくわからないけど、滲んだ涙が眼尻から僅かに頬に流れた。

 圭は嘘をついていた。それも、物事のはじまり自体が虚構から始まっていたのだ。何事にも器用で、頭もよく、要領のいい弟だったが、姉である私にまで、その能力を発揮して、まんまと罠にかけたのだから、罪悪人なのだろう。

 私は、有紀のメールを見つめながら、茫然としていた。圭に対して、どのように対応するかどうかを考えるのではなく、有紀が知らせてくれた事実関係を飲み込む段階で抵抗していた。

 圭が美絵さんとセックスが出来ないと告白した時、たしかにセックスをしたことがないと、私に語った。そして、いまだに結婚間近の美絵さんとセックスが出来ないと言った。色んな経緯があったが、最終的に私が教える羽目になった。

 つまり、圭は大学時代にやりまくっていたにも拘らず、童貞だと嘘をついたことになる。

 180度違う自分をつくり上げて、私にセックス・カウンセラーをさせたのだ。つまり、結果的に、私を作り話に巻き込んで、私とセックスしただけ、と云うことになる。

 ここまで考えてみると、圭はとんでもない極悪人と云うことになる。自分を童貞と偽り、セックスの仕方を教えてほしいと偽り、単に実の姉である私の肉体を弄んだことになる。

 しかし、と思った。私を騙したのは事実だけど、私を抱くために、圭は100万円を差し出した。あのお金は単に、私の肉体を買うためのお金だったのだろうか。だとすると、自己評価は別にして、一般論として高額すぎる。

 また、その後の圭と美絵さんの関係では、私のカウンセラー後に、初めて二人の肉体関係が成立したことは、美絵さんの口から正直に語れている。つまり、圭は結婚を予定している相手の女性、美絵さんに対してだけは“初心(うぶ)”だったと云うことになる。

 有紀が敢えて私に嘘の情報を流すわけはなかった。

 私と初めて結ばれた時も、その日のうちに、圭は性的行為において、天賦の才をみせ、私の肉体を翻弄していた。あれは、たしかに天賦の才と云うより、手慣れた男の性戯であったのかもしれない。

 判っている事実を整理しようと思った。

 (1)まず初めに、圭は真剣に童貞だという嘘をついた。

 (2)セックスを教えて貰うお礼に100万円支払うと言った。*現実に支払われている。

 (3)はじめは、童貞らしい行動をしていたが、後半では熟練な行為をしていた。

 (4)しかし、すべてが嘘でないことは、婚約者の美絵からの証言がある。美絵と圭は、私と圭との関係成立後に、初めて結ばれている。

 (5)有紀の情報によれば、圭は昔から私に憧れていて、水着の写真を後生大事に所持していた。

 (6)有紀が参加してきた3人の関係の時も、圭は物怖じしない行動に出ていた。今になってみれば、手慣れていたとも受けとめられる。

 (7)奇妙な差出人不明の手紙が届いたことは、圭の複雑な動きに関係があるのかどうか、これは留保案件。

 私は、思い出す事実関係を書きだした。そして、それを見つめていることで、圭の正体が現れるのを期待した。
 つづく

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終着駅57 


 第57章

 母親に、有紀の話をするのは億劫だったが、話さないわけにも行かなかった。

 どう考えても、結婚が取りやめになったと云う話を、私がするのは間違いだったが、今さら、有紀にメールしても、まともな返事が返ってくる可能性も低かった。

 案の定、母は軽いパニック状態になったが、最終的には、炊事を放棄し、頭痛薬を飲んで、ふて寝してしまった。これは彼女がパニックから逃れる時の手段で、特に心配なことではなかった。

 母の炊事を引き継いだ私は、彼女が何を作ろうとしていたのか分からなかったが、酢豚と野菜スープを作った。圭が結婚して家を出ていたし、有紀も、今後自宅に帰ってくることは稀だろうから、三人家族になっていた。

 ここ1年で、家族崩壊ではないが、5人家族だった我が家は、瞬時にして3人家族になっていた。このまま時間が過ぎていくと、私は、家付き舅・姑付きのいかず後家になりそうな感じだった。

 老いた両親の介護に明け暮れる将来の自分の姿を思い浮かべながら、私は、意外に美味く出来た酢豚に舌鼓を打った。そして、二階への階段を上りながら、マンションを買って独立しようかと考えた。

 マンションのローンを支払う能力はありそうだし、圭との逢瀬にも都合が良い。しかし、母がちょいちょい気軽に顔を出せる距離のマンションでは都合が悪い。圭が、部屋が遠すぎると言って、文句を言うとも思えない。2,30年後には、両親の介護問題が浮上するかもしれない。

 急に、マンション購入と家を出る考えが、非常に正しい考えのように思えてきた。

 圭との関係の継続が絶対的かどうか、自信は揺らいでいた。有紀を含めた3人の間に出来た奇妙な関係に馴染みかけた時に有紀の離脱は、残された二人の関係が、速攻で、元の鞘に戻るというものではなかった。

 圭との関係が、どこか魂が抜けてしまったようなセックスになっていることが気がかりだった。

 どちらかに、何らかの事情があるということではなく、二人の間に割り込んできた有紀の参加と離脱に、大いに影響を受けているのは間違いなかった。

 その辺のところは、出来るだけ早く、話し合う必要があった。圭と話す分には、利害損得は殆どないので、奥歯に物の挟まった話をする必要はなかった。

 しかし、と私は考えた。

 圭との関係が家を出るきっかけではなかった。いかず後家のキャリアウーマンになることを避けるのが、そもそもだった。圭との逢瀬の場所の為にマンションを購入するわけではない。圭のことは分離して考えるべきだった。

 がしかし、とまた考えた。マンションを買って家を出ても、いかず後家のキャリアウーマンには変わりがないと気づいた。いや、いかず後家と云うのは、家付きの未婚の娘に向けられた言葉じゃないのだろうか?私は、ググった。

【行かず後家とは、適齢期を過ぎても嫁に行かない女性を嘲う言葉。】
*江戸時代から使われている
後家とは夫に死なれ、再婚をせずに独身でいる女性のことである。つまり、行かず後家とは何歳になっても後家さんのように嫁に行かない女性のことで、そういった女性を嘲う言葉である。行かずだけでも適齢期を過ぎても嫁に行かない女性を意味するが、後家をつけることで更に嫌みが込められている。なお、関西の一部では婚約中に死別・生別し、後家のようにしている女性を行かず後家、単に何歳になっても結婚しない女性を嘲うときは行かずと使い分ける地域もある(ただし、年を追うごとにこうした使い分けはなくなってきている)。(日本語俗語辞典より)

 なるほど、そういう事なら、私が家を出ようと出まいと、「いかず後家」なわけだけど、どこかに違和感がある。現在の世間一般では、いかず(行かず)の中には、家を出ていかない適齢期の娘と云うニアンスもあるような気がした。

 そういえば、「処女」と云う言葉は、今では男性経験のない女とか、未体験の娘などを指すのだけれど、平安時代から長いこと、「家に処る(いる)娘」と云う意味だったのだから、時代とともに、「いかず後家」の意味も変わっているのだろう。

 私は、自分のやっている行為が意味のないものだと知っていた。ただ、何かしていないと、心がくじけそうな心境だった。

 冷静に考えれば、圭との関係を清算することは正しい行為であって、心がくじけるものではない筈なのに、やはり、挫けた。

 圭が私の前から消えたからといって、人生が絶望的になることもなかった。理屈の上では、より正常になるわけだから、喜ぶべきなのだが、やはり、心は寂しかった。

 有紀が参加した関係なんて、ほんの数回に過ぎない。その何倍も、圭と私の関係は積み重ねられているのだから、こんな程度で、易々と壊れる筈はないのに、壊れそうな予感があった。

 その予感の根拠は具体的なものではない。ただ、圭と行為しているときに感じる物足りなさだった。

 私が感じるのだから、おそらく、圭も何かを感じているに違いなかった。しかし、それを解決するために、圭と向き合って話をすれば、解決可能かというと、そういうものでもない気がしていた。
 つづく

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終着駅56 三人の関係はあっさり終わった


 第56章

 そんな夜を過ごした三人の関係は、その後、数回繰り返された。私も、おそらく圭も有紀も、そのような関係が長続きするとは思っていなかっただろう。そして、予感通り、三人の関係は消滅した。

 無論、きっかけはあった。三人の間で、なにかが起きたと云うわけではないが、有紀の女優としての外部環境が変わったことで、時間がなくなり、三人が顔を合わせることが困難になった事に起因した。

 有紀は、今や遅れてきたスターとなり、メディアに露出していた。家族でありながら、生の有紀に会うことはなくなり、テレビの画面で、有紀が生きていることを確認する状況なので、三人の関係が消滅するのは当然だった。

 有紀のスポンサー選択は正しかった。

 彼女が、人身御供になるとしても、くすぶり、バイトをしながら細々と劇団を主宰していた女が、過激に変身しているのだから、彼女が、それまでに培ったものは、女優としての肥やしだったのだろう。

 圭も私も、女優有紀の肥やしになった事を、怨んではいなかった。むしろ、名誉の一翼に参加している悦びがあった。

 特に、終わりを告げるベルも鳴らなかったけど、関係は終わった。

 その後、圭とは変わりのない時間を過ごし、以前のようにセックスを愉しんではいるのだが、どこか魂を家に忘れてきたようなセックスが続いていることは、互いに語らない中で感じていた。

 そんな或る日、珍しく、今や売り出し中の演技派美人女優“滝沢ゆき”である有紀からメールが入った。

 『 ご無沙汰~。ご承知のように、奇妙な流れで、猛烈なスケジュールに追いまくられています。メディアの世界で売れるって、こういう事なのかと思うけど、人間だかどうかさえ分からなくなりそうです。事情は、後日、会った時でも話そうと思うけど、結婚の話、消えました。スポンサーとしての立場は継続されるので、目的は達成されています。当の本人も承知しているので、父親だけの判断ではないので、トラブルもなさそうです。劇団の方は、継続中ですけど、脚本を書き替えて、私の出番は少なくしてもらいましたが、メディアの世界の凄さですね、毎日満員御礼です。チケット捌くのに悲鳴を上げていたのが嘘のような状況です。当分、家には帰れそうもないので、圭や父さん母さんに、適当に話しておいてください。三人の関係も、このまま解消で構わないよね?圭がなにか言っても、姉さんにお任せします。上手いこと言いくるめてください。必ず、恩返ししますから(笑)。では、状況報告です。 涼ねえさんへ 有紀 』

 なんとまあ身勝手な妹だと思ったが、特別腹が立つと云う程でもなかった。

 有紀が、人身御供な結婚を回避できたことは良いことだし、スポンサー継続もよかったし、舞台の興行成績も良いのだから、身内として、満足すべき話だった。

 両親への連絡は、母に話しておけば済む。圭に対して、どのように話すべきだろうか、私は迷っていた。

 しかし、物理的に三人の関係継続が無理なことは、彼自身よく理解していた。そう考えれば、何も私が、有紀の個人的事情以上の事柄に、寸借や補足する意味はないと思った。

 圭が、三人の関係消滅を、どのように受けとめるかと云う問題を考えるのは、私の役目ではないと思った。圭が、どの様に受けとめ、どのように対応するかは、彼の範疇においてなされれば良いことだった。

 私は圭に、有紀からのメールの内容を簡潔にメールで伝えた。

 『 へぇ、そうなんだ。なんだか腰が抜けた感じもするけど、有紀ねえさんにとっては、ハッピーなんだよね。弟として、良かったとしか言いようがない。でも、あの何回かの、奇妙な関係は、何だったんだろう?その辺は、時間を掛けないと理解できないことなんだろうね。無論、俺の気持ちの問題だけだけど……。また、メールします 』

 常識的な圭の返事だった。特に何事も起きないだろうと思われるメールだった。

 三人の関係は、幻想であり、有紀の舞台演出に、ちょっと飛び入りさせて貰ったと思えばいいのだ。圭も、そのような結論になるだろうと推測した。
つづく

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終着駅55 一段と深く指先をアナルに挿し込んだ


 第55章

 「今夜は、圭が何回出せるか実験するよ」有紀は手慣れた指使いで、圭のペニスを隆々とさせ、語りかけた。時折、ぺろりと舌先で男の愛液を舌舐めずりした。

 なるほど、あのようにしてペニスを愛撫するのか。私は有紀のテクニックを感心して眺めていた。

 「圭、出しちゃダメだからね。これから涼ねえさんがオマエを愛撫してあげるんだから」有紀が態勢を入れ替え、私に圭のペニスをバトンタッチした。

 私は有紀の命令に従った。初めはぎこちなかったが、次第にコツのようなものがわかった。圭の陰茎の硬さが、それを知らせた。

 私は、圭の亀頭先端から滲み出てくる愛液を美味しいと思った。夢中で、その愛液を利用して、亀頭を貪った。

 「出そうだよ」圭が訴えた。

 「駄目よ!まだ」有紀が強い声で、圭を叱った。

 そして、何を思ったか、指先をホテルの備え付けられているコンドームに装着して、圭の尻の下に差し入れた。

 「ヤバい!」圭が半分逃げるような動きをしたが、有紀の指先から大きく逃げることはなかった。

 圭が身体を硬直させた。一瞬、弛みかけた怒張が、先ほど以上の硬さで、私の口中にあった。

 陰茎に回している指先には、これ以上血液が流入してしまったら、破裂してしまうような恐怖さえあった。

 「圭!思いっ切り出しな!」有紀が美しい夜叉となり、髪を振り乱し、一段と深く、指先をアナルに差し込んだようだ。

 「うっ!出る、出る!」圭は、私の口中に第一弾の精液を吹きだした。

 有紀が、今度は私を押しのけるようにして、圭の亀頭を咥えた。そして、おそらく第二弾、第三弾の圭の射精を受けとめながら、更に扱いた。

 私は、先ほど口中に受けとめた圭の精液の行き場を探していたが、有紀はなんの躊躇いもなく呑み込んでいるのが、喉の動きでわかった。

 私もそれに倣うしかなかった。どんな味がしたか、そんなことを忘れてしまうような出来事が目の前で展開されていた。

 圭の勃起が蘇っていた。有紀は、圭への責めを怠らず、みずからは、自分のバギナを愛撫しているようだった。

 私は、どのようにこの演技に参加すべきか、一瞬考えたが、思いっ切り有紀の股間に顔を埋めた。

 「姉さん、イイ、そこ、そこを吸って!」有紀が叫んだ。私は、命じられる儘に、有紀のバギナ全体を口に含み、吸い続けた。

 次の瞬間、有紀は、私の愛撫から逃れると、圭の上に跨った。そして、激しく腰を打ちつけた。

 私は堪らず、自分のバギナに指を入れた。

 有紀は、圭の上に跨り、固定されたディドルを使いこなすように怒張を呑み込み、何度となく身体をこわばらせた。

 そして、思い出したように、私に、その場を提供した。

 私は、上になることを好まなかったが、有紀を見ているうちに、上も良いのかも、と洗脳されていた。

 私も、有紀同様の道筋で、圭と云う弟の怒張を、固定化したディドルとして乗りこなし、有紀に負けるわけには行かないとでも思うのか、身体を何度となくこわばらせた。
 つづく

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終着駅54 


 第54章

 下から貪ってくるような有紀の唇に、私は翻弄された。

 後ろからの圭の怒張に突き動かされ、オーガズムとは違うもののようだけど、腰部に底知れぬ快感が充満していたので、その快感領域に身をゆだねている私は、有紀の能動的口づけに応える動きは封じられていた。

 圭の動きが激しさを増した。圭の体重が私を抑え込み、身動きが取れない囚われの身になった気分で、圭の怒張に縦横無尽にバギナは蹂躙されていた。

 私は犯されている感覚が、異なる快感を導きだしてくる奇妙さに気づかず、その鈍いが重々しい快感に思わず唸った。

 気がつくと、有紀の身体にも異変が起きていた。私のお尻の上で高圧的に動いていた圭は、同時に、有紀への愛撫も頂点に向けて激しさを増していたのだ。

 有紀は私の唇をほうり出すように逃れると、私とは異なる野太い唸り声をあげ、全身を硬直させ、私の背中に回していた両腕の指先に力を込めた。

 私も、有紀に引き摺られるように、腰部に突き刺されている圭の怒張に意識を集中した。そして、有紀同様に快感を身体の芯に伝えるために全身に緊張を走らせた。

 意図的としか思えないが、圭は動きを完全に止めて、私のバギナと有紀のバギナを全力で抑え込み、二人の女が同時にオーガズムに至ることを望んでいるようだった。

 私は演技を忘れ、初めて味わう、犯されているような快感を享受した。有紀が、どのような快感を享受したかわからなかったが、彼女も何らかの快感を充分に味わっていた。

 その魔界の饗宴から、どのくらいの時間が経過したのか分からなかったが、誰もが口をきかずに、クイーンサイズのベッドの上で川の字になり、約束もされていないのに、仰向けになっていた。

 三人は、そんな姿で、今まで行われていた行為を、どのように受けとめたのか、誰も語らなかった。三人三様の受けとめ方かもしれないし、多くの共通点があったのか、聞きたくても、聞いてはいけない空気があった。

 有紀が床に落ちていたバスローブを片手に立ち上がった。私も同じように、有紀にならった。二人は連れ立ってバスルームに消え、圭はタバコに手を伸ばし、二人を見送った。

 広々としたバスルームに入った有紀と私は、お互いのオッパイはどっちが大きい、どっちが綺麗とか言い募り戯れた。そこには、既に魔界の舞台から降りた仲良し姉妹の姿があった。

 中学時代に戻ったふたりは、子供のようにじゃれ合って、先ほどまでの事はなかったことのように振る舞うのだが、バスタブに身を沈めた二人は、再び魔界の舞台に登った。

 先ほどまで性的快感に浸っていた二人のバギナは、ほんの僅かな刺激で目覚めた。そして、はす向かいになり、お互いのポイントを速やかに察知し、緩やかな動きで、ジワジワと快感を与えあった。

 「これってレズなの?」私は有紀に確認した。

 「どうなのかな?でも姉さんの触り方気持ちいよ」

 「有紀の触り方も気持ちいよ」

 お互いに、お互いの行為を容認したことで、動きは益々大胆になり、最後に二人は、くぐもった唸り声を出して果てた。

 「姉さん、圭のこと二人で弄ってやろうよ」有紀はバスタブの縁に腰を下ろして、悪戯っぽく笑いかけた。

 「そうね、アイツ、私たちのこと弄り回したもの」私も明るく笑顔を返した。

 圭が、私たちの逆襲にたじろぎ、俯せになって防御態勢に入った。

 有紀がすかさず、圭のアナルに向けて、指を差し入れようとした。前を守るか、後ろを守るか、圭は究極の選択を迫られていたが、ベッドから逃げ出すような野暮なまねはしなかった。
 つづく

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終着駅53 ペニスをバギナに、指を有紀のバギナに…


 第53章

 セリフはないのに、断固シナリオがあるように三人は演じていた。いや、性行為をしていた。

 あきらかに、これは3Pと云うセックスのバリエーションだが、情欲で起こされている3Pなのかどうか、どこか釈然としない3Pだった。

 しかも、姉と妹、そして弟がとりかわす近親相姦な3Pなのだから、冷静になれば、幾分の異常と、猛烈な異常が重なっているのだった。

 しかし、私を含め、三人に、非倫理的で許し難い行為がなされているとは、誰も感じていなかったに違いない。

 演劇と云うものは、こういうものなのだろうか。舞台に登った瞬間、その演技者は役になり切り、罪悪感も羞恥も躊躇いも逡巡も投げ捨てるのだろうと実感した。

 “役者と乞食は三日やったらやめられない”と云う言葉があるが、役を演じることの意味が、少し理解できた。そして、それに、自分自身のすべてを注ぎこむ有紀の心情も理解できた。

 私も、圭も、職業上の役は演じているだろうが、不器用にも、一種類の役を演じているだけで、次から次と役を演じることはない。

 その上、その役に成りきることで、舞台やスクリーンの中でスポットライトを浴びるのだから、なかなかスリリングで魅力的な職業だと思った。

 その役に嵌っている限り、演じる役が、どれ程凶悪な殺人鬼でも、詐欺師であっても、最終的にはフリーパスの免罪符を持っているのだから、夢の中で狂気の暴君になれると云うことなのだろう。

 私も演技者のひとりであることをたしかめるように、有紀の乳房に手を当宛がった。有紀は、予測された手であるかのように、私の指を受入れた。

 有紀の乳首は私より、左右ともに大きく、且つ固く尖っていた。指先でいたぶるにも、手のひらで刺激を与えるにしても、好都合な形状になっていた。

 おそらく、勃起したペニスやクリトリスの亀頭が刺激に敏感なように、尖った乳首も、摩擦に弱そうに見えた。

 コリコリした感触の有紀の乳首は、摘んだり、咬んだりするよりも、摩るような摩擦に感受性があるように思えた。単純に、私は見たと通りの印象で、その乳首に愛撫を加えた。

 有紀の乳首に、そのような愛撫を加えることで、有紀のバギナに、何らかの異変が起きたのだろうか、圭の動きがとまった。そして、幾分の困惑の表情が見て取れた。

 有紀の喘ぎが切迫していた。おそらく、かなり深い快感領域で、最期のとどめを待つ態勢にもかかわらず、トドメがないことに、有紀も戸惑っているようだった。

 私はサディスティックな気分になっていた。有紀をもっともっとイカセたい。イカせるのは良いが、一本道でイカせる気にもなれない意地悪な思いがあった。

 普通ではつまらない。私たちは、折角考えられないシチュエーションでセックスを演じているのだから、もっと魔界のような性に溺れなければ意味がない。そうじゃないと、私たちの行為に美は訪れない。

 かといって、どうすれば、その魔界のような行為に陥るのか、その方法を知らなかった。こうなると、現在、有紀の乳首に行っている愛撫をもっと過激にすることしか思い至らなかった。

 私は夢中で、有紀の乳首への摩擦の度合いを深めた。なにを思ったのか、圭が有紀のバギナから怒張を抜去し、俯せになっていた私のお尻の上に跨った。

 圭の、突如とした動きに、私は思わず腰を浮かせてしまった。

 不可抗力と言うべき状況で、圭の怒張が、後背位にもかかわらず、みごとと表現したくなる滑らかさで、バギナに侵入してきた。

 切羽詰まった感じの圭の怒張は、私の奥を貫き、お尻を万力のような力で抑え込み微動だもしなかった。

 私は犯されているような奇妙な快感を味わっていたが、それでも、有紀の様子が気になった。

 はじめは、有紀の乳首への愛撫に固執しようと努めたが長くは続かなかった。

 ただ、どういう積りか自分でも分からなかったが、有紀の上半身を抱きしめる態勢をとり、乳房に顔を埋めた。

 有紀は、バギナからペニスが去って行ったのを知らない筈はないのに、先ほど同様に喘いでいた。その時初めて気づいたのだが、圭の指が有紀の股間に挿し込まれていた。

 どうなっているのか、私には理解不能だったが、たしかに圭の右腕は有紀に向けられていた。

 まさに魔界の性行為だった。圭は、ペニスを私のバギナに挿し込み、その指を有紀のバギナに挿し込んでいる。

 何という失礼と云うか、器用な男なのだが、そのように、圭も演じていると思えば、納得出来ないこともなかった。

 有紀が唇を求めてきた。一瞬、躊躇いが走ったが、今は演じ切ることが、最も大切なことだと、その求めに応じた。
 つづく

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終着駅52-2 私の快感は狂乱的だった。


 第52章―2

 私たち三人は、今、セリフのない寸劇を演じている。

 圭も有紀も私も、なんらしめし合わせてもいないのに、そのような舞台にいると思うことで、あらゆる免罪符を、全員が望んでいたということなのだろう。

 同じ家に生まれ、同じ環境で育った三人に共通の不文律的知恵があったともいえる。

 どのようなわけで休息していたか判らなかった圭が、再び始動した。

 充分に濡れている膣口なのに僅かに痛みが走った。

 しかし、その痛みは瞬間であり、次には、キリきりと音を立てているような、圭の怒張の攻めが佳境を迎えているようだった。

 私も、圭の動きに呼応して、気を入れた。間もなくイケル!そう思った瞬間に、私の乳房に有紀の手が伸びた。

 ……何てことするの!……私は叫びたかった。

 しかし、いまの三人の暗黙の約束を違えることは出来なかった。こうなった以上、その状況をも快感に取り入れなければと、瞬時に決心がついた。

 有紀の指先が、的確に私の乳房の真ん中の乳首へ、愛撫にしてはかなり強い刺激を与えてきた。

 無我に入った私は、乳首が膣オーガズム同様の快感を齎す(もたらす)事実を知った。

 圭が、収縮しきった膣から、亀頭を抜き、間をあけているあいだ、有紀がつねるように指に力を入れるたびに、膣奥では、異なる快感が発生していた。その快感のメカニズムなど、考えている余裕はゼロだった。

 圭が僅かな休息を終え、強引に亀頭を突き入れてくると、有紀の指は優しく乳房に当てられていた。

 圭と有紀の呼吸が完全に一致して、私を叫ばしてしまう程の性戯とは、何なのだろう。阿吽の呼吸と言うには、あまりにも一致していた。しかし、それを考える以上に、私の快感は狂乱的だった。

 決してオーガズムに至らない快感は、終わりのないレズビアンの快感であるのかもしれない。しかし、圭の怒張は紛れもなく、オスのペニスであるし、私は思考を完全に停止した。

 繰り返し行われる、圭と有紀の交互の攻めが、私の体力を奪った。

 永遠の快感がえられるのだけれど、体力が続かないと云う出来事に初めて出遭った。

 私は腕をなんとなく差し出して、タイムを要求した。そして、その動きに、ふたりが戸惑っている隙に、するりと体を躱した(かわした)。

 私の身体は、有紀を乗り越えた。そして、有紀の身体を、さっき私が翻弄されていた位置に押し出した。プロレスのタッグマッチのように、リングに押し出された有紀は抵抗することなく、私に替わって足を広げた。
 つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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