FC2ブログ
QLOOKアクセス解析

あぶない女 36


第36章

先ほど送られてきた敦美のメールを読み直した。
 
“主人が寝たので、ようやくメールが出来ます。あなたの心配は当然だと思いますけど、大丈夫です。父の遺産です。
かなりの額ですから、一生無駄遣い出来ると思います。ただ、このままだと、使い切る前に、殺されてしまうのかもしれません。
ここから逃げ出すのが、一番良いのでしょうけど、超世間知らずなので、どうしたら良いのか、全然わからないの。
私は、どうしたら良いのか、知恵があったら、教えて下さい。お願いします、凄く恐いの”


“なるほど、遺産だったのか、それなら納得出来るね。無駄遣いは、感心しないけど。
あの痩せ薬を飲み続けているとどうなるのかは、わからないけれど、精神に異常が来るのだけは確かでしょう。命にかかわる事はないだろうけど、正常な判断力を失うことはありうる。
ご亭主が、なぜ、敦美さんにシャブ入りのサプリを飲ませたのか、目的は必ずしもハッキリはしないけど、セックス好きにさせようとした。また、貴女の正常な判断力を奪おうとした。たぶん、この2つの一挙両得を狙ったと推測できるよね。
セックスの目的の方は、ご亭主の個人的嗜好の問題だろうけど、後の、貴女の判断能力を奪うと云う目的の方は、お父さんの遺産が関わっている疑いが濃厚。
仮に、数億円の遺産が、自分の妻のものになった男は、その遺産の使い道に関与したくなるんじゃないかな?
場合によると、結婚当初から、そのような事態になることを、想定していたのかもしれない。
そうなると、敦美さんが怖がるような事態が起きることは、半分既成事実のような気がする。
おそらく、貴女を殺すような事はしないと思う。
ご亭主の犯罪が証明されたら、一瞬にして相続人の地位も失うし、人生を棒に振るわけだから、そのような暴力的手段には出ないでしょう。
現時点だけの想定だけど、敦美さんのシャブ依存症が慢性化するのをジッと待つつもりだと思う。
そして、貴女の日常的判断能力が失われるまで、待つのでしょう。
その後、ご亭主は“成年後見制度”を利用して、判断能力を失った妻である敦美さんの「成年後見人」におさまると云う計画が、見えてきます。
では、敦美さんは、その事実、或いは疑念に、どのように対応すべきか、それを考えなければならないよね。
まず、決めておかなければ問題がある。
1、敦美さんは、もうご亭主を愛していないので、速攻、別れても良いと思っている場合。
2、まだ、ご亭主に未練があり、同居していたいと思っている場合。
1、の場合、俺が手助け出来ることは沢山あるけれど、2、の場合、俺が敦美さんを助けることで、出来ることは限られる。
つまり、現在の敦美さんが遭遇している危機は、まず、貴女が、ご亭主と速攻、別れても構わないかどうか、そこに掛かっていると思う。
そして、一人住まいが出来るかどうか、そこに掛かっている。
無論、物理的には、お金さえあれば、東京で一人住まいして、優雅に暮らすことは可能だと思う。ただ、最低限、何年間かは、一人で生きてゆく意志があるかどうか、そこが決め手。
先ずは、俺としては、手助けするとしても、絶対的条件の、「1、敦美さんは、もうご亭主を愛していないので、速攻、別れても良いと思っている場合。」に該当する、そこを聞かせて貰いたい。  以上です。“


俺はそんなメールを書き込み、送信を押した。

自分の女房に覚せい剤入りのサプリを飲ませるような相手なのだから、同居を継続しながら、その危険から身を守ると云う事は、一般的にあり得ない。先ずは、物理的に、その危険から逃れるのが先決だった。

つづく

いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)

アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking

pero-77.png

あぶない女 35


第35章

敦美から返信が来たのは、午前2時を過ぎていた。敦美のメールは、そろそろ寝ようかという時間に着信することが多かったので、特に、驚きはなかった。

“主人が寝たので、ようやくメールが出来ます。あなたの心配は当然だと思いますけど、大丈夫です。父の遺産です。かなりの額ですから、一生無駄遣い出来ると思います。ただ、このままだと、使い切る前に、殺されてしまうのかもしれません。ここから逃げ出すのが、一番良いのでしょうけど、超世間知らずなので、どうしたら良いのか、全然わからないの。私は、どうしたら良いのか、知恵があったら、教えて下さい。お願いします、凄く恐いの”

文面に、ラリッている部分は見られなかった。痩せ薬を飲んだフリをして、捨てているのだろうか。

だとしたら、軽いか重いか別にして、禁断症状らしきものが出ているはずだが、その感じも、文面からは読み取れない。

いずれにしても、自分が危機的状況にいると気づいたことは良い傾向だった。俺の一番の疑問にたいしても、一番納得出来る“遺産”だと答えている。

まだ、敦美は、“シャブ中”と云う水準に達していないのかもしれなかった。

ただ、シャブが含まれている痩せ薬を飲むことで、あのような爆弾女に変貌するだろうか。その辺は、今ひとつ、ハッキリしなかった。

痩せ薬でラリッている時の敦美、薬を飲まずに苛立っている時の敦美。そのどちらも、本当の彼女の姿ではないだろう。

どちらの女と話しをするのが適切なのか、そこが問題だった。

薬を飲んでいない時の敦美は知らないが、陰鬱で、苛立ちを抱え、不機嫌になっているに違いなかった。

薬を飲んでいる敦美は、敦美のすべてが、オ×ンコに凝縮されて、躁状態で明るく勇気がある。

状況から言うなら、後者の方が前向きな行動を促すには好条件だ。

しかし、その場合は、敦美の尽きることない性欲を鎮静化する労力を惜しみなく提供しないと、目的にまで到達できないだろう。

しかし、とりつく島もないよりは、遥かにマシな選択だった。

十二分に性欲を満たした敦美は、躁と鬱の中間あたりに居るのだろうが、鬱状態に入る前の一時間くらいは、真っ当な判断力を持っている可能性があった。

俺は、その一時間に掛けることにした。

ただ、そのような状況になる前に、敦美の頭に、幾つかのサゼッションをインプットしておく方が、説得する可能性は高まると考えた。

相当長い文面になりそうだが、俺は腹を決めて、敦美に長文のメールを送ることにした。

つづく

いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)

アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking

pero-17.png


あぶない女 34


第34章

敦美から、その夜、メールは入らなかった。こちらから、催促すべき内容のメールではないので、待つ以外に手はなかった。

腹を立てる内容ではない。

家庭の事情でメールを書けなくなったか、自分なりに考えている最中なのだろう。

思い返すと、敦美という女の正体で、知っていることは、亭主がいることと、シャブ中毒になっていることだけで、それ以外の彼女の境遇を、何ひとつ知らなかった。

専業主婦なのか、子供がいるのかも知らないのだ。

その敦美という女のオ×ンコに、黒く野太い電動バイブを突っ込んだのは、誰あろう、俺だった。

都会とネット社会がセットになれば、こういうものなのだろうか。それにしても、敦美の場合、特別だった。

端から、”ヤロウよ”という言葉が羅列されていた。

逆に考えると、そんな奇妙な言葉を投げかけるだけの相手と、どうして俺は不用意に会ったのか、その根拠さえ曖昧だった。

単純に、助平だったからと指摘されれば、たしかに、決め手のひとつだという事は認める。しかし、それだけで、出あうことに決めたわけではない。

たしか、俺は、あの女を、メールの文章だけで、”イカセタ”。それが、俺の書き手としての自尊心を擽ったからだった。

既にメール・セックスで、旧知の仲になっていると錯覚してしまったのだ。そして、あんなに激しく”イク”女に好奇心を持ったからだったような気がする。

既視感の罠に嵌ったのだ。

実際には、見たことも、見かけたこともない、女と出会い、ホテルで、黒棒を、その女のオ×ンコに突き刺し、かき混ぜた。

逆に言うなら、見知らぬ初めての男に、オマンコを晒し、歓喜の声を上げたのが、敦美だった。

このような経験を重ねてしまうと、男が抱いている、女の秘部への価値観が摩耗していく。

たしかに、多くの経験を通じて、その価値観は下降気味だった。

考えてみれば、女にとって、生まれながらに所有していた肉体の一部に過ぎないのがオ×ンコなのだから、男以上の価値を、そこに見いだして、特別視するとは考えにくい。

しかし、世間は、21世紀になっても、そこにまつわるスキャンダルを、日々の話題にして盛り上がる。

スキャンダルの多くは、金銭の場合もあるが、多くは、ヴァギナとペニスの結合が介在している。

仮に、美しい女と見栄えの良い男の恋愛であっても、そのパーツの結合抜きに、プラトニックなものとして捉えることは稀である。

俺は、そんなことを思い、おそらく、どこか人間の歴史の中で、肉体のパーツに、特別の意味合いを、通念的に刷り込んだという勝手な解釈で折り合いをつけた。

つづく

いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)

アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking

pero-9.png


あぶない女 33


第33章

“このあいだはゴメンナサイ。また会って欲しいけど、もう無理かな?”

“私なりに、どうして、アイツが薬なんか飲ませる気になったのか、考えてみたの。でも、やっぱり分んなかった”

“やりたいよ!明日も会えないかな?会ってくれたら、10万円あげるんだけど”

俺は、敦美からの3通のメールを読み返してみた。

メールが届いていると気づいた時には、こちらがムカッときていたので、かなり狂っている印象があったが、冷静になってから読み返してみると、それ程、狂ったメールではなかった。

……俺の想像と云うか、妄想が、真実であるかどうか、確認してみる価値はありそうだ。会う、会わないは、それからでも遅くはない。そうだよな……

……何と返事をしようか?……

……誤解を怖れずに書くとしたら、先ずは、敦美が、なぜ金に困っていないか、それを尋ねるべきだ。もし、敦美が金持ちでない限り、そこから先の、俺の想像は頓挫するのだから……

“たった一回のセックスの相手するだけで、男に10万円渡すということだけど、そんな浪費しても、君は大丈夫なの?”

俺の1通目のメールを送信した。

“変事ありがとう。大丈夫だよ!”

早速返事が来たが、短文過ぎて、内容を吟味するメールではなかった。もう少し、誘導尋問的に話しを進める必要がありそうだった。

“俺と会うのは、あと1回だけで良いのかな?もし、何度も会うことになったら、100万や200万、あっという間に消えちゃうけど、それでも大丈夫なの?”

このメールの内容次第で、敦美と云う女の懐具合の確認は可能だと思った。何でもない、大丈夫と云う返事が戻ってきた場合は、女は数百万円を気にしないような金を持っているか、常に、大金を稼ぎだす、何かを持っていることになる。

次のメールも、10分くらいで着信した。

“私さ、見た目よりも金持ちなんだよ。だから、私の相手する限り、アンタも金には苦労しないってことよ。何も、お金にもの言わせて威張る気はないから安心して。この間みたいに、虐めて貰えれば、それで良いの”

……敦美が、相当の金持ちなのは判った。女が自由意志で使える金だろうから、亭主の稼ぎから出てくる金ではないのだろう。

問題は、その金の由来だ。

10億円の強盗の話は、最近、聞いたことがないから、盗んだものではないだろう。

かと言って、あの女が、自力で、それだけの金を稼ぎだしたと云うのも、考えにくい……

“そうなのか、それは凄いね、驚いたよ。でも、そのお金が犯罪絡みだったりすると、俺も、共犯者にされそうだから、不用意に、君の誘いに乗るのは、どうかな?と思うよ”

仮に、犯罪によって得た金であるなら、断るだけだ。

現実に、犯罪で稼いだと云う事実を知らない限り、俺は、善意の第三者で済む。

しかし、知っていると、その分け前を貰うも同然の行為に、手を染めることは出来ない。そう言って、話を、此処までと云う流れで切ってしまう積りだった。

そのメールを送信したところで、敦美からのメールが途絶えた。一時間近く待ってみたが、メールはなかった。

つづく

いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)

アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking

pero-31.png


あぶない女 32


第32章

俺が、敦美に救いの手を差し伸べる立場でないことは、百も承知していた。

ただ、乗り込んでいるボートが、実は泥で作られている場合、沖に出たら、沈没するのが判っているのに、注意もしないことが許されるものなのだろうか迷った。

俺は、自分でも不思議なくらい、真摯な態度で考えた。

善意の第三者が、他人に危険が迫ってきている状況を知っていながら、ただ無作為に傍観することで、良いのだろうか、無論、罪に問われる問題ではないにしても…。

いや、俺は傍観してはいない。既に、あのホテルで、敦美が覚せい剤の中毒症状があると、断定的に伝えている。

敦美に、正常な判断能力が残っていれば、自分が飲んでいた痩せ薬サプリに、覚せい剤が混入していることを知ったのだから、後は、あの爆弾女の自己責任だった。

“シャブ入り痩せ薬”を飲むも飲まないも、敦美と云う女の、自由選択だった。

旦那と同居していると、覚せい剤から遠のくことが無理であるなら、遺産を抱えて逃げ出せば済むことだった。

遺産のあるなしは、俺の想像に過ぎなので、家を飛び出すだけの経済力を持っていない可能性もあった。

しかし、わずかな時間から得た情報。

初めて会った時、財布に数十万がさり気なく入っていた事実。こんな俺と会うために、10万円を支払うと言った点、この二つの事実から、敦美は、金に困っていないと判断するのは間違いではないだろう。

無論、その金の出所が、遺産なのか、宝くじに当たったものか、働いて貯めたものか、そのどれであるかを知る由はない。ただ、確率的に、親の遺産と目星をつけるのは妥当だ。

しかし、あの爆弾女、敦美が正常な判断能力を持っているなら、逃げると云う行動には、禁断症状に一人で立ち向かう覚悟が必要だった。

自ら始めた覚せい剤でなければ、その苦しみに耐えることは可能かもしれないが、相当の覚悟が必要だ。

いや、無理だろう。事前の覚悟とプランなしに、飛び出しても、シャブ欲しさに、旦那の下に舞い戻ることになる。

あの女が、薬物依存専門病院に行く知識であるとか、NPO社会復帰支援施設DARK(ダルク)などの知識があるだろうか?

まず、無いと考えるべきだ。

あの敦美と云う女の薬物依存度が、どのくらいのレベルに達しているか、まったく判らない。

ただ、炙りや注射で、覚せい剤を体内に取り込んだわけではないので、症状としては軽度である可能性はあった。

覚せい剤を、結果的に摂取してしまっているわけだが、やせ薬ドリンクとして、飲んでいたのが、敦美のケースだ。仮に、大量のアンフェタミンが含まれているドリンクであれば、苦すぎて飲めない筈だ。

“センブリエキス”が入っているから等と言われて納得する場合もあるだろうが、相当に苦い。その上、アンフェタミンは、胃を荒らすので、激しい胃炎も惹き起こす。

そう考えると、敦美の薬物依存が軽度である可能性は高い。

戦争中に危険な任務につく兵隊たちに飲ませた“ヒロポン”のレベルであれば、疲労回復と性感高揚と云う程度の効果は充分にあるだろう。

運がよければ、旦那から逃げ出すだけでこと足りる。

もしも、依存度が強いのであれば、精神科のクリニックに飛び込めば、専門医療機関を紹介してくれるだろう。

そのクリニック、乃至は専門医療機関が、警察に通報する可能性はあるが、覚せい剤又はそのドリンクを持っていない限り、逮捕されることはないだろう。

事情を聞かれて、旦那に勧められたと告白すれば、旦那の方が警察の厄介になることはあり得る。

俺は、ここまで想定した時点で、敦美に、アドバイスのメールを入れてやる気になった。

つづく

いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)

アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking

pero-36.png


あぶない女 31


第31章

敦美と云う“爆弾女”の境遇が、資産家の一人娘という設定は、酷く俺の好奇心を動かした。

敦美の夫である男も、同じように興味を持ったことは、充分想像出来ることだ。

敦美の亭主と俺の違いは、敦美の遺産を横取りしようと考えているか、守ってやろうかと考えている違いだ。

資産家の一人娘と結婚できる状況が目の前にぶら下がったのだから、相手の敦美に愛情を感じていたかどうか別にして、独身の身であれば、立ちどまり、想定集を頭の中で描いた上で、結婚に踏み切ったのだろう。

まして、現在のような“シャブ中”になっているわけではない敦美なのだから、充分過ぎる女の魅力を持っていた筈だった。

ただ、男の計算に狂いが出た。身から出た錆なのだろうが、初心を忘れて、女房への気配りを欠いた。

生活の慣れと云うものには、初心を忘れる罠が、至るところに埋め込まれている。

おそらく、日常的な態度が悪くなったとか、コソ泥のような浮気でもしたのだろう。

いずれにしても、舐めてかかった敦美と云う女房に、逆に見限られる雰囲気になってきた。

離婚と云う話題は出ないまでも、そうなる空気が夫婦の間に漂った。ここで、夫婦関係が破綻してしまうことは、亭主にとって最悪の結果だった。

夜の生活で、よりを戻そうと試みても、行為自体を拒否されてしまい、万事休すと思われた。

そんな亭主は、女房が、自分から離れられない状況は、どのような場合か、必死で考えたに違いない。

その結果が、女房を“シャブ漬け”にすると云う、馬鹿げているが、彼なりには、絶対的切り札だと、結論づけたのではないのだろうか。

その悪巧みは、おそらく、相続が始まる前から、仕込まれていたのだろう。

敦美が、遺産を相続してからでは、三下り半を何時突きつけられるか判らないわけだから、事前に実行された。

少なくとも、夫の収入で生計を立てている間、つまり、ギリギリのイニシアチブを握っている間が、夫の勝負どころだったに違いない。

そうしなければ、彼は、身の安全と云うか、結婚の目的のすべてを失うのだから、必死だったろう。

敦美の父親が、いつ死ぬか、時期は未定だったろうが、その可能性が徐々に近づいていることを、男も知っていた、と考えるのが一般的だ。

夫婦の関係が、そこそこ、円満であった時期に、その情報は共有されていたのだろう。

つまり、自分の女房を“シャブ漬け”にすることで、相続が開始された後で、敦美が日常的に、正常な判断能力が失われるのを待って、“成年後見制度”を申し立てる予定の決行中、それが、今に思えた。

“成年後見制度”は、裁判所が絡むので、亭主が無職であるなど、裁判所が、素直に“成年後見人”に選任しない場合もあるので、亭主自身にも、忍耐は要求される。

ここまでの事実関係、そして、俺の推理、想像、妄想を推し進めると、敦美の立場は、相当に危機的だった。

つづく

いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)

アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking

pero-37.png


あぶない女 30


第30章

“このあいだはゴメンナサイ。また会って欲しいけど、もう無理かな?”

一行メールだったが、特に日本語に間違いはなかった。

二通目を開いてみた。

“私なりに、どうして、アイツが薬なんか飲ませる気になったのか、考えてみたの。でも、やっぱり分んなかった”

二通目も、そうだろうと、思えるような内容だった。ただ、あのワープしたような状況の敦美よりは、正気を取り戻している感じが窺えた。

しかし、結論は、心当りがないと云うことなので、結果は同じだ。ただ、ストーカーの臭いはしなかった。

三通目を開いた。二通目と三通目の間には、2時間のタイムラグがあった。

“やりたいよ!明日も会えないかな?会ってくれたら、10万円あげるんだけど”

メールは、正気を失った内容に変っていた。

ただ、オ×ンコをして貰うために、10万円を支払うと云うのは、初めての提案だった。

10万円云々はどうでも良いことだが、敦美と云う女は、金に不自由していない環境下にあると云う事実が判った。

このあいだ、ホテルでの支払いの時、財布の中に数十万円がさりげなく入っているのを目撃していたので、辻褄は合っていた。

旦那が金持ちなのか、女が金持ちなのか、そこが問題だった。

いや、仮に亭主が金持ちであったとしても、ラリッている女房に、そんなに現金を持たせると云うのは不自然だった。

おそらく、女の裁量の範囲で、かなり自由になる金を持っている可能性が高かった。

あの女が事業家として成功を修めている想像は論外に思えた。宝くじに当たったと考えることも出来るが、万に一つの可能性に思えた。

では、女は、何で金持ちになったのだろう。

そうか、一番可能性があるのは、親の遺産が転がりこんだと考えると、すとんと腑に落ちる。

となると、女は、嫌な旦那と、生活の為に暮らさなければならない理由はなくなる。

きっかけさえあれば、いつでも別れてやる、そういう気分になっても不思議ではない。

当然、その意識が芽生えれば、自ずと、日々の態度に出ることになる。

旦那も馬鹿ではないから、女房の態度の変化に気づく。

当然、女房の態度が変わった原因が、遺産が入ったことに起因していることが判る。

亭主が、敦美と結婚した経緯が判らないので、これ以上の想像は妄想に等しいのだが、ミステリー愛好者の俺としては、ついつい、妄想を逞しくした。

女に惚れたから結婚しただけと云う、つまらない結論もある。しかし、それでは、あまりにもツマラナイ。

仮の話だが、亭主は、当然、結婚する前から、敦美が資産家の娘であることを承知していた。

そうなると、俄然話は変ってくる。

いつの日か、大金持ちの女の亭主になっている事を夢見ていたのかもしれない。

いや、それが目的の結婚だった可能性もある。

しかし、資産家である親が亡くなる前に、二人の間にすきま風が吹きだしてしまって、離婚の気配さえ漂ったら、どうなるのだろうか?

金が目的だった亭主は、どのような手立てを考えるだろう?

俺は、逞しくした妄想を、順序立てて、確認してみたが、その妄想に、特別、重大な瑕疵は見当たらなかった。

つづく

いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)

アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking

pero-32.png


あぶない女 29


第29章

部屋に戻って一服していると、敦美からの連続メールが20通近く、着信していた。

敦美と云う女は、単に爆弾女だっただけではなく、ストーカー気質まで備えているようだった。

開く気にはならなかった。

一括で削除した上で、アドレスを迷惑メールに指定してしまえば、それまでのことだった。

俺は、敦美からのメールを反転させて、迷惑メールにしてしまう積りだったが、そこまでで、指はとまった。

“1,2通読んでやってから、迷惑メール指定しても良いんじゃないのか?”

そういう気持になった、特別の考えなどなかった。ただ、数通読んでやることは、最低限の礼儀かもしれないと思ったのかもしれない。

いや、このまま捨てるには惜しい女体だとスケベ根性が、指をとめさせたのかもしれなかった。

いや、実はそれだけではない。

敦美の旦那が、なぜ、自分の女房に覚せい剤入りの痩せ薬を飲ませたのか、と云う理由を考えている時、脳裏をかすめた、或る推測が引っ掛かっていた。

旦那が、いくら自分の女房に惚れているからといって、意図的“シャブ漬け”にすると云う話は、現実的ではなかった。

ヤクザの連中が、素人女をヤク中にして、売春婦として稼がせると云うのは現実的で、合理性があったが、自分の女房を逃げ出させない為に、“シャブ漬け”にするのは、合理性がなかった。

単に、女房への怨みを晴らすためとしても、手が込み過ぎている。浮気防止と考えているのなら、旦那は、ただの馬鹿だ。

現に、俺のような男を咥えこんで、さっきのような行動に出ることは容易なのだから、目的は何ひとつ達成していない。逆効果でさえあった。

そう、もっと、自分の女房を“シャブ漬け”にする、隠れた目的がある筈だった。

俺は、そのことを知りたいと思った。

少なくとも、メールのやり取りをしているだけなら、敦美の爆弾の被害者になることはないのだから。

俺は、そう結論づけて、敦美からの、1通目のメールを開いた。

つづく

いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)

アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking

pero-68.png


あぶない女 28


第28章

意味もなく、砲弾飛び交う戦場に行く気にはなれないが、魅力的であるなら、その地雷原をヒヤヒヤしながら歩くのも悪い趣味とは言えないだろう。

俺は、そんなことを考えながら歩き続け、職安通りを突っ切り、西武新宿駅を通過した。

西新宿の高層ビル街を歩いていた。

大久保通りのような人間臭さが排除された異空間の中を、無機質な生き物になったような気分で歩いていた。

行き交う人間がいないわけではないのだが、それらすべての人間が、ゾンビかもしれないと思えるほど無機質な動くものとして、視界は捉えていた。

再開発で整備された車道は、3車線以上を確保していたし、中分離帯も大きいので、車に優しい道路だったが、歩行者には、必要以上の負担をかける難物道路だった。

それぞれの高層建築が吹き下ろすビル風は、時に、大の男の歩みを止まらせ、準備不足の女たちのスカートを巻きあげた。

もう目の前に目印があるのに、目指す甲州街道に辿りつけず、何度か立ちどまった。

新宿駅西口に近づくと、無機質だった街の顔が一変した。歌舞伎町のような猥雑さはないが、やたらと人の営みの臭いがしてきた。

ようやく甲州街道を渡り、俺は車を駐車していた路上パーキング地帯に辿りついた。

喉がカラカラだった。出来たら、どこかで一服したい気分だったが、自販機から缶コーラを求め、自分の車の姿を遠目に見ていた。

まだ、あの敦美と云う女が、執念深く俺の姿を探し回っているような不安があった。

無論、あれから、6時間以上が経過しているのだから、徘徊している筈はないのだが、念には念を入れた。

俺の欲望を擽るだけの女体を持った敦美と云う女だったが、自発的ではないとしても、覚せい剤禁断症状が出ている女と関わりになるのは、アバンチュールの範疇を超えていた。

亭主が、どのような目的で、自分の女房をシャブ漬けにしようとしたのか、女自身が判らないのに、第三者の俺に判る筈はなかった。

ただ、持ち前の創造力を逞しくすれば、幾つかの目的を想定することが出来た。

最も有力な目的は、女を、自分なしでは生きていけない女にしようとしている場合だ。それ程に、亭主が女房に惚れている証拠だと言えるが、誰も喜ばないような証拠でもあった。

場合によると、あまりにも多情多念な女房の男関係に腹を立て、報復に出たと云うことも考えられた。

もう少し捻って考えると、女房は数年前に亡くなった資産家の一人娘で、莫大な遺産を相続していた。

その女房をシャブ漬けにしてしまえば、自らが、成年後見人(禁治産者・準禁治産者制度)になれる法の盲点をついた行為なのかもしれなかった。

いずれにしても、そのような実態を知るには、爆弾女である敦美との関係を密にしない限り、無理な推論の証明だった。

女のシャブ漬けが、単に爆弾女と亭主の愛情の変形的な行動であるなら、特別の興味はない。

しかし、後者の莫大な遺産相続絡みであれば、その経験はスリリングだ。

敦美が、成年後見制度に持ち込まれる寸前に、亭主の犯罪を暴露して、離婚手続きに持ち込む手はありそうだった。

その経緯として、俺が、敦美の成年後見人になる。現実は、表向き弁護士を立てるのが筋だろう。

特に、敦美の資産を好き勝手に費消してやれ、と云った欲望ではない。

しかし、見ず知らずだった女の莫大な財産を管理する立場になると云う企みには、それなりに魅力があった。

俺は、自分の妄想を膨らましながら、敦美の姿がないことを確認して、愛車に乗り込んだ。

つづく

いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)

アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking

pero-49.png


あぶない女 27


第27章

サイドテーブルの上に、灰皿を重石代わりにして、一万円札がエアコンの風に靡いていた。

一万円札は、追加料金に配慮して置いていったのだろう。

それにしても、俺の方が遥かに年長なわけで、女が、延長料金にまで配慮する必要はない筈だった。

しかし、新宿駅で、女の後姿に誘われるようについていった俺は、その時点から、女の支配下に取り込まれていたのかもしれなかった。

ルノアールでの出会いも、その後の行動も、女のなすがままだった。

俺が、自主的に何かをしたことはなかった。頭の中では、様々な思いを巡らしていたが、それが、行動に現れることはなかった。

ようするに、女が去った時点においても、俺は、シャネル女の支配下にいるのだろう。

酷く脆い、いつでも壊せる支配の壁なのだが、媚薬の匂いが漂い、エッセンシャルオイルの膜で身体が包まれているような、奇妙な心持の壁だった。

一万円札の下に、走り書きをした女の名刺が挟まっていた。

“時間が迫っていたので、声かけずに帰ります。昼間にでも、携帯に連絡入れてください。怖い女なんて思わないで、必ず連絡くださいね。新井寿美”

綺麗な字だった。シャネル女は、自ら朝鮮系の民族だとしらせていた。名前が、それを無言で知らせていた。

きっと、連絡を入れる時は、そのことも承知の上で、連絡してきて欲しいと云うメッセージなのだろう。

まだ、4時間は経っていなかったので、そそくさと着替えて、旅籠を後にした。

きっと、俺は、女に連絡するだろうから、その時、一万円を返せばいいと、財布にねじ込んだ。

しかし、と俺は思った。

西東京の外れに位置している焼肉屋がいくら繁盛しているいっても、稼ぎは知れたものと想像できた。

しかし、女の持ち物や服装、仕草など、裕福さは板についたもので、一朝一夕で身につけたものではなかった。

本人か、或いは親が、潜りで金貸しをしているとか、そう云う裏稼業をしている臭いがした。よく耳にする、北朝鮮への送金ルートの闇銀行を運営しているのかもしれなかった。

そう云う想像を働かせると、先ほどの敦美という“爆弾女”の何十倍もの破壊力のあるクラスター爆弾に近づくようなものかもしれなかった。

しかし、それでも、俺は、あの女と再会したかった。

想像のリスクを怖れている人生など、無いのに等しい。ひっそりと、健康管理に勤しむ長生きなど、御免蒙りたい。

ヤクザ者ではないが、飲む・打つ・買う、で人生充分だった。

たまたま、ヤクザと違う点は、物書きとして生業が出来ている、それだけのことだった。

間もなく、50歳になる。織田信長の幸若舞“敦盛”一節や小唄の節を真似るわけでもないが、
“人間50年 下天のうちをくらぶれば 夢幻のごとくなり 一度生を受け
滅せぬもののあるべきか”
“死のうは一定(いちじょう) しのび草はなにをしよぞ 一定かたりをこすのよ”
そんな心境だった。

人間の一生で確実に訪れるのは、誕生と死だけだ。

しかし、誕生は無自覚なものなので、パーソナルな領域ではあっても、欄外な観念だ。

自覚的に確実な人間の起承転結は“死”があるだけといっても、言い過ぎではない。

どんな人間にも約束されていることは、肉体は必ず滅びる。必ず死ぬと云う保証だけがあるのが、生命のあるものの宿命だった。

だったら、50年も生きられたのだから、残りは余生みたいなもので、今さら怖れるものなどないだろう。

つづく

いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)

アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking


pero-59.png


プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

最新記事
rankig
応援してくださいね!

FC2Blog Ranking

目次

結衣との関係 』(中編)

人妻のからだ 』(中編)

終着駅 』(長編連載中)

リンク

最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
08 | 2016/09 | 10
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

アルバム
RSSリンクの表示
検索フォーム
QRコード
QR